税務調査後の更正処分(追徴課税、青色申告の取り消しなど)に納得できない。
そんなときは、処分の取り消しや変更を求めて不服申し立てをすることができます。
しかし、ここで気になるのが、この不服申し立てが認められる割合がどのくらいなのか?です。
不服申し立てが認められる割合は7.1%
国税庁が発表した「令和4年度における審査請求の概要」によると、不服申し立て(審査請求)が認められた割合は、7.1%となっています。
詳しくは、『税務調査の不服申し立て「再調査の請求」と「審査請求」の違いを徹底解説』をご覧ください。
さらに詳細を見ると、不服申し立て(審査請求)の
- 全部が認められた割合 → 約2.3%
- 一部が認められた割合 → 約4.8%
となり、不服申し立ての主張が全て認められる割合は、100件中2件程しかないことが分かります。
出典:国税庁
取下げ | 却下 | 棄却 | 一部認容 | 全部認容 |
---|---|---|---|---|
9.0% | 12.0% | 72.6% | 4.8% | 2.3% |
※取り下げとは、その不服申し立てを不服申立人が自ら取り消すこと。
※却下とは、その不服申し立てを不適法として訴えを退けること。
※棄却とは、その不服申し立てに理由がないとして訴えを退けること。
※一部認容とは、その不服申し立てが一部認められること。
※全部認容とは、その不服申し立てが全て認められること。
しかしながら、いずれにしても不服申し立てが認められる可能性は、かなり少ないと思っていいでしょう。
裁判所に「取消訴訟」を提起できる
審査請求の結果にも納得できない場合は、6ヶ月以内であれば裁判に取消訴訟を提起することができます。
裁判所は、どの行政機関にも属さない”司法機関”です。
そのため、行政機関が下した処分に対して、同じ行政機関である「国税不服裁判所」に訴えるより、裁判所に訴える方が公平性のある審査が期待できます。
ただし、簡易的な不服申し立てと比べると、裁判は膨大な時間と費用がかかり、認容を得るのも容易ではありません。
だからこそ、「その訴訟を勝ち取る価値があるのかどうか」しっかりと見極める必要があります。
最後に
税務署等の処分に納得できなければ、不服申し立てをすることが可能です。
しかし、実際のところ、税務署等の更正処分の取り消しや変更が認められるケースは、8.8%(審査請求における容認率)とかなり少なくなっています。
不服申し立ての手続きには、手間も時間もかかります。
だからこそ、税務署等が決定した更正処分が覆るのかどうか、あらかじめ税の専門家に相談することをおすすめします。
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。