経営者の皆さん、セカンドオピニオンってご存知でしょうか?
セカンドオピニオンとは、主に医療分野で用いられる用語であり、主治医に提示された診断結果や治療方法について、別の医師に「第2の意見」を求めることを言います。
実は、医療分野のセカンドオピニオンの考え方は、複雑な税金の世界でも広く取り入れられています。
この記事では、税理士にセカンドオピニオンを依頼するメリットなどについて解説していきます。
目次
税理士のセカンドオピニオンとは
税理士におけるセカンドオピニオン(second opinion)とは、現在の顧問税理士に引き続き依頼した状態で別の税理士に「第2の意見」を求めることを言います。
日本の税制は、世界銀行「Doing Business 2018」の納税項目で第68位となっているとおり、世界と比較しても複雑極まりないものとなっています。
税制が複雑な理由としては、
- 毎年のように変更される税制
- 複数の選択肢がある期間限定の減税・特例措置
- 複雑な税制の「抜け穴」を塞ぐための規制
などがあり、一般人が理解するには非常に困難です。
そのため、企業や個人事業主は、このような複雑な税制に対応するために「税理士」に依頼することになります。
しかし、税金の処理方法は、絶対的な答えのない部分も多く、税理士によって解釈はマチマチです。
だからこそ、顧問税理士の解釈に対して「もっと良い方法があるのではないか?」と疑問に感じたのであれば、別の税理士の意見を聞いてみることが大切になります。
税理士にセカンドオピニオンを依頼するケース
税理士にセカンドオピニオンを依頼するケースは、次のとおりです。
- 今の顧問税理士は、説明が小難しくて気軽に相談ができない
- 「親身になって相談してくれない」「連絡をしてもなかなか折り返しがない」「訪問での相談ができない」
- 決算申告や記帳代行は行ってくれるが、新しい情報提供や節税対策・経営面などのアドバイスがない
- 仕事に対しての顧問税理士の顧問料が高く感じる
- 税務調査の立ち会い時に税務署の言いなりで意見をしてくれなかった
- 先代からお世話になっているが、年が離れすぎてコミュニケーションが取りづらい
- 今の税理士に見積もってもらった相続税の金額に疑問がある
すでに顧問税理士の変更を積極的に検討しているなら、あらかじめセカンドオピニオンで信頼関係を築いておくのも良いでしょう。
いきなり顧問税理士を変更するのではなく、サービスやコミュニケーション・相性などを測った上で依頼すれば、失敗のリスクを減らすことが可能です。
税理士にセカンドオピニオンを依頼するメリット
税理士にセカンドオピニオンを依頼した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?見ていきましょう。
新しい意見が取り入れられる
顧問税理士に限らず、長年の人間関係は居心地がいい反面、マンネリ化により視野が狭まってしまう危険性もあります。
もちろん、経営環境の変化に応じて積極的に新しい提案をしてくれる顧問税理士もいますが、皆が皆そうとは限りません。
そんなときに税理士のセカンドオピニオンを利用すれば、全く別の角度から思いもよらなかった新しい意見を取り入れられる可能性があります。
顧問税理士と比べてハイリスクな提案がなされることもありますが、経営に関わる意思決定の選択肢が増えることは、大きなメリットと言えます。
特に会社の将来を大きく左右する大規模投資などを実施する際は、税理士のセカンドオピニオンを利用して複数の意見を聞いてみると良いでしょう。
結果的に顧問税理士の判断に対する疑念が解消され、信頼関係を強固なものにできます。
顧問税理士の不得意な分野をカバーできる
一口に税理士と言っても全ての税金に精通している訳ではなく、得意分野と苦手分野が存在します。
これは、お医者さんごとに「内科」「外科」「眼科」「耳鼻咽喉科」「皮膚科」「脳神経外科」など、専門分野がそれぞれ異なっているのに似ています。
税理士で言えば
- 法人や個人事業主の税金の申告
- 節税対策
- 税務調査の対応
- 金融機関などからの借り入れ・資金調達
- 経営管理・経営コンサルティング
- 相続税・贈与税・事業継承・M&A
- 国際税務・海外税務
などの分野があります。
上記の他にも特定分野(飲食店、小売・卸売、不動産、建設業、医療・クリニックなど)に強みを持っている税理士もいます。
「今の顧問税理士は、法人の決算申告はきっちりやってくれて信頼関係もあるけど、節税対策は積極的ではない。」
「決算は引き続き顧問税理士に任せたいが、事業継承については他でも相談してみたい。」
「海外進出をするにあたって国際税務の相談をしたい。」
といった場合、その分野に精通している税理士に相談すれば、より専門的な意見を聞くことが可能です。
税理士にセカンドオピニオンを依頼する注意点
税理士にセカンドオピニオンを依頼すると必ずしも良い方向に進むわけではありません。
いくつかの注意点もあるので見ていきましょう。
税理士のコストが増える
税理士にセカンドオピニオンを依頼する上で考えるべき点は、コスト面です。
顧問税理士に毎月顧問料を支払うのと同じく、当然のことながらセカンドオピニオンに正式依頼する際は相談料・顧問料が発生します。
税理士2人分の料金が発生することになるため、費用対効果については検証しなければなりません。
「最新の税制を活用できるか検証をしたい。」「税務処理のダブルチェックをして不安を解消したい。」「節税対策で税金の負担を減らしたい。」など、ある程度の明確な目標を持って相談することをおすすめします。
税理士の得意分野で決める
税理士にセカンドオピニオンを依頼する場合は、自社の課題を明確にして慎重に選ぶ必要があります。
もし、解決したい問題に精通していない税理士を選んでしまうと、時間とコストを無駄にするだけの結果に繋がりかねません。
当事務所では「決算申告・確定申告」「節税対策」「税務調査」を得意分野としており、これらについては満足していただける自信もあります。
しなしながら、相続税対策、国際財務、株式上場(IPO)支援などについては、相談内容にはよりますが高いパフォーマンスを発揮できない可能性があります。
最後に
税理士のセカンドオピニオンを利用することで現状の税務処理の再確認や新しい意見を取り入れることが可能です。
もちろん、セカンドオピニオンを依頼することでプラスの料金がかかることになりますが、複数の専門家の意見を取り入れることで経営に新しい風を吹き込むことができます。
税金対策は、世界に名だたる大企業でも重要な課題としている項目であり、会社から出ていくお金を減らすための取り組みを積極的に行っています。
当事務所は、
- 節税対策
- 税務調査
に大きな強みを持っています。
過去数百件以上のノウハウ、税務調査の立ち会い経験から合法的に税金の負担を減らすご提案をすることが可能です。
今の顧問税理士が節税対策に消極的であれば、セカンドオピニオンとして一度ご相談いただければと思います。
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。