会社設立

会社設立の資本金はいくら・決め方は?知らないと税金が100万円上がることも

「会社設立を考えてる。信用のため、資本金は多ければ多いほど良いだろう。」

そう考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

でも、ちょっと待ってください。

この最初に決める資本金一つで100万円以上も無駄な税金を支払うことになるかもしれません。

この記事では、知らなければ損する”会社設立時の資本金の決め方”をご紹介します。

これから会社設立を考えている方にとって、有益な内容となっていますので、ぜひご一読ください。

資本金は1000万円未満にするべき

結論から言いますと、会社設立時の資本金は1000万円未満(99,999,999円以下)にすべきです。

なぜなら、節税効果が非常に高いからです。

次の表を見てください。

1000万円未満
(99,999,999円以下)
1000万円 1000万円以上

3000万円以下
3000万円超

1億円以下
消費税の納税義務が免除
(原則2年間)
均等割 【50人以下】
70,000円
【50人超】
140,000円
【50人以下】
70,000円
【50人超】
140,000円
【50人以下】
205,000円
【50人超】
225,000円
【50人以下】
205,000円
【50人超】
225,000円

※2018年6月時点の情報となります。
※均等割は、大阪府大阪市に事業所を開設した場合のケース。【】は従業員数です。各都道府県、各市町村によって税額が異なります。

資本金を1000万円未満にしていると、

  • 消費税の納税義務が免除(原則2年間)
  • 均等割が最低額である70,000円(従業員の数が50人以下の場合)

となり、節税効果がかなり高くなることが分かります。

もう少し詳しく解説しましょう。

消費税の納税義務が免除(原則2年間)

まず、こちらが“資本金1000万円未満”をおすすめする理由となります。

消費税とは、皆さんご存知のとおり、商品を購入したり、サービスを受けたときにかかる税金です。

原則として、法人(個人事業主)は、

  • 2年前の”課税売上高が1000万円超”
  • 1年前の上半期(6ヶ月間)の”課税売上高が1000万円超”かつ”給与等の支払総額が1000万円超”

のいずれか1つでも満たすと”消費税課税事業者”となり、消費税を納める義務が発生します。

ただ、会社設立後の2年間は、消費税の納税義務を免除できる”消費税免税事業者”になることが可能です。

その要件が

  • 資本金1000万円未満
  • 会社設立から6ヶ月間の”課税売上高が1000万円以下”かつ”給与等の支払総額が1000万円以下”

となります。

芦屋会計
会社設立1年目は、資本金を1000万円未満にしておけば、確実に消費税の支払いを免れます。

2年目は、上半期の売上が1000万円を超えてしまっても、給与を1000万円以下に調整することで、消費税の納税義務を免除してもらえます。

どのくらい税金が安くなるの?

例えば、課税売上高2000万円、仕入高1200万円の会社があったとします。

消費税の計算方法(本則課税)は次のとおりですので、

納付消費税額 = 売上高 × 消費税率 - 仕入高 × 消費税率

納めるべき消費税額は、

納付消費税額 = 2000万円 × 8% - 1200万円 × 8% = 160万円 - 96万円 = 64万円

と計算できます。

通常であれば、64万円を国や地方に納めなければなりません。

ただ、先ほどの要件を満たせば、最大2年間にわたって消費税の納税義務を免除してもらえます。

芦屋会計
税金が年間64万円(2年間128万円) → 0円になるのは、かなり大きな節税効果ですね。

もちろん、残ったお金は事業用資金として自由に使うことができます。

消費税課税事業者が得になるケースもある

ただ、売上より仕入にお金がかかった場合は、消費税の納税義務を免除してもらわない方が得です。

例えば、課税売上高500万円、課税仕入高1000万円の会社があったとします。

納めるべき消費税額は、

納付消費税額 = 500万円 × 8% - 1000万円 × 8% = 40万円 - 80万円 = -40万円

のマイナス40万円となります。

実は、こんな場合は、消費税40万円の還付を受け取ることができます。

芦屋会計
・売上高 > 仕入高の場合は、消費税免税事業者

・売上高 < 仕入高の場合は、消費税課税事業者

になれば、税金が安くて得ということですね。

なお、資本金が1000万円未満の場合でも、その年度の期末日までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば、さかのぼって消費税課税業者として認めてもらえます。

ただし、課税事業者選択届の提出してから2年間(場合によって3年間)は、

  • 消費税免税事業者に戻ることができない
  • 簡易課税制度を選択できない

ため、注意が必要です。

芦屋会計
いずれにしても資本金は1000万円未満がおすすめです。

この他にも、売上高5000万円以下であれば、消費税の計算方法を「簡易課税」に変更することで、数十万単位の大きな節税につながることもあります。

簡易課税とは?売上5000万円以下なら消費税を節税できる可能性あり

弊社は、節税対策に強みがありますので、お気軽にご相談いただければと思います。

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均等割が最低額である70,000円(従業員の数が50人以下の場合)

均等割とは、毎年、必ず支払わなければならない税金です。

こちらは、所得に応じて税額が決まる「法人税」とは違い、“赤字”であっても定額で支払う義務があります。

具体的には、

  • 資本金
  • 従業員の数

によって納付額が決まり、各都道府県、各市町村によって税額が異なります。

例えば、大阪府大阪市に会社設立をした場合、

  • 大阪府(道府県民税)
  • 大阪市(市町村民税)

に均等割として税金を納めなければなりません。

なお、均等割の税額は、各自治体のホームページに記載されています。

【大阪府】

出典:大阪府ホームページ/平成30年5月現在

【大阪市】

出典:大阪市ホームページ/平成30年5月現在

よって、大阪府大阪市に資本金1000万円以下、従業員数50人以下で会社設立をした場合、

均等割は、

  • 大阪府 → 20,000円
  • 大阪市 → 50,000円

の合計70,000円となるわけです。

さらに、ここから資本金を1万円だけ増やして、資本金1001万円、従業員数50人以下で会社設立をしたとしましょう。

すると、均等割は、

  • 大阪府 → 75,000円
  • 大阪市 → 130,000円

の合計205,000円となります。

先ほどと比べて“年間13万5000円”も税金が高くなりました。

芦屋会計
ほんのちょっとした差で税金の負担額が年間13万5000円も変わりました。

均等割は、黒字でも赤字でも必ず支払う義務がある税金。

特段の理由がなければ、資本金は1000万円未満にすることをおすすめします。

資本金ごとの税金額をシミュレーション

では、資本金額によって、どのくらい税金の負担が増減するのかシミュレーションしてみましょう。

  • 消費税と均等割でシミュレーションします。その他の税金については考慮しません。
  • 事務所の所在地は大阪府大阪市です。
  • 会社設立から2年間で比較します。
  • 従業員数は50人以下とします。
  • 消費税の計算は、原則課税で行うものとします。

ケース1:課税売上高が500~700万円

  • 1年目:売上高540万円(内消費税40万円)、仕入高200万円(内消費税16万円)、消費税額24万円
  • 2年目:売上高756万円(内消費税56万円)、仕入高324万円(内消費税24万円)、消費税額32万円
資本金300万円 資本金1000万円 資本金2000万円
消費税 1年目:0円
2年目:0円
1年目:24万円
2年目:32万円
1年目:24万円
2年目:32万円
均等割 1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:20.5万円
2年目:20.5万円
2年間の総合計 14万円 70万円 97万円
芦屋会計
資本金300万円と資本金1000万円では、2年間で56万円も税金の負担額が違ってきます。

ケース2:課税売上高が1000~1300万円

  • 1年目:売上高1080万円(内消費税80万円)、仕入高432万円(内消費税32万円)、消費税額48万円
  • 2年目:売上高1404万円(内消費税104万円)、仕入高648万円(内消費税48万円)、消費税額56万円
資本金300万円 資本金1000万円 資本金2000万円
消費税 1年目:0円
2年目:0円
1年目:48万円
2年目:56万円
1年目:48万円
2年目:56万円
均等割 1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:20.5万円
2年目:20.5万円
2年間の総合計 14万円 118万円 145万円
芦屋会計
売上が増えれば、ますます税金の負担に差がつくことが分かります。

ケース3:資本金1000万円未満の2年目が課税事業者

  • 1年目:売上高2700万円(内消費税200万円)、仕入高756万円(内消費税56万円)、消費税額144万円
  • 2年目:売上高2484万円(内消費税184万円)、仕入高650万円(内消費税52万円)、消費税額132万円

※会社設立から6ヶ月間の売上が1000万円以上超、給与等の支払い総額が1000万円超だったとする。

資本金300万円 資本金1000万円 資本金2000万円
消費税 1年目:0円
2年目:132万円
1年目:144万円
2年目:132万円
1年目:144万円
2年目:132万円
均等割 1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:20.5万円
2年目:20.5万円
2年間の総合計 146万円 290万円 317万円
芦屋会計
資本金1000万円未満であっても、要件を満たせなければ2年目からは消費税を支払わなければなりません。

あらかじめ、しっかりと要件をチェックしておきましょう。

ケース3:会社設立1年目の”仕入高”が売上高を超過

  • 1年目:売上高864万円(内消費税64万円)、仕入高1404万円(内消費税104万円)、消費税額-40万円
  • 2年目:売上高1080万円(内消費税80万円)、仕入高432万円(内消費税32万円)、消費税額48万円

※ここでは、資本金300万円の会社が「課税事業者選択届」の提出により、”消費税課税事業者”になった場合も加えています。

資本金300万円
免税事業者
資本金300万円
課税事業者
資本金1000万円 資本金2000万円
消費税 1年目:0円
2年目:0円
1年目:-40万円
2年目:48万円
1年目:-40万円
2年目:48万円
1年目:-40万円
2年目:48万円
均等割 1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:7万円
2年目:7万円
1年目:20.5万円
2年目:20.5万円
2年間の総合計 14万円 22万円 22万円 49万円
芦屋会計
会社設立して1年目は高額な設備投資や仕入れをするケースが多いです。

その場合は、資本金1000万円未満でも届け出により、消費税の還付を受けることができます。

ただし、一度、課税事業者になると2年間は継続しなければなりません。

「節税対策と思って課税事業者になったのに、結局税金が高くついてしまった・・・」というケースもあるので、しっかりとシミュレーションを行いましょう。

最後に

資本金は、会社の経営体力を表す重要な指標です。

しかしながら、目的もなく資本金を多く設定してしまうと、税負担が増えてしまうだけです。

基本的には、

  • 取引先と付き合いをするため(主にBtoB)
  • 許認可事業を行うため(一般労働者派遣事業の2000万円など)

といった場合を除いて、資本金は1000万円未満に抑えておくべきです。

目安としては、初期費用 + 3ヶ月~半年までの運転資金を用意することをおすすめします。

もし、どうしても1000万円以上の資本金が必要であれば、社長が会社へ貸し付けるという形を取ることも可能です。

例えば、自己資金が1500万円あれば、

  • 資本金900万円
  • 借入金600万円

という形にすれば、資本金を1000万円未満に抑えることができ、運転資金も1500万円となります。

会社設立で失敗しないためには、資本金の他にも決算期、役員報酬、融資の申込、助成金・補助金の申請など、事前に押さえておくべきポイントはたくさんあります。

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