「ニュースでよく耳にする”ガソリン税の暫定税率”って何だろう?」
そんな疑問を持っている方は多いのではなょうか?
その名のとおり、ガソリン税の暫定税率は暫定的(=一時的)な増税措置として導入された税金です。
導入当初は2年間の期限付きでしたが、景気対策や財源確保の名目で数十年にわたって繰り返し延長されてきました。
国会でもたびたび議論の的になってきましたが、2025年にようやく年内の廃止に向けて合意なされ、実際に廃止されるかどうかが注目されています。
この記事では、ガソリン税の暫定税率について基本や歴史、使い道などを分かりやすく解説していきます。
目次
ガソリン税の暫定税率とは
ガソリン税の暫定税率とは、自動車やバイクのガソリン価格に含まれているガソリン税の一つです。
現在、ガソリン1リットルあたり25.1円の暫定税率が設定されています。
ガゾリン税の本則税率(基本の税金)が1リットルあたり28.7円であり、暫定税率を加えると合計53.8円の税金がかかっていることになります。
いつから始まった?
ガソリン税の暫定税率は、1974年に第一次オイルショックに伴うエネルギー価格の高等と道路整備の財源不足を解消する目的で臨時で導入されました。
本来、2年間の期限付きで導入されましたが、その後も延長が繰り返されて50年以上が経過しました。
暫定税率については、国会でも度々と取り上げられて紆余曲折としてきました。
実際、2008年には暫定税率を巡る与野党の対立が激化したことで失効しましたが、翌月には再可決により復活。
2009年以降は、道路特定財源制度が廃止されたことで暫定税率は一般財源に変更されています。
なお、2010年の民主党政権で「ガソリンの平均小売価格が3ヶ月連続で160円/Lを超えた場合、暫定税率分を停止する」というトリガー条項が導入されました。
しかし、2011年に発生した東日本大震災の財源確保のために一度も発動されることなく凍結されています。
使い道は?
ガソリン税の暫定税率は、導入当初、道路特定財源として道路の建設・整備・維持管理に使い道が限定されていました。
2009年以降は、一般財源化されたことで幅広く使われるようになっています。
具体的には、
- 社会保障(医療、年金など)
- 地方交付金
- 公共事業、防災・インフラ整備
- 教育や子育て支援
- 国債の償還や利払
など多岐にわたります。
ガソリン税の暫定税率の廃止でいくら安くなる?
実際、ガソリン税の暫定税率が廃止された場合は、ガソリン価格はいくら安くなるのでしょうか?
ガソリン価格が170円/Lを例にシミュレーションしてみます。
内訳は、次のとおりです。
本体価格 | 97.95円 |
---|---|
ガソリン税の本則税率 | 28.7円 |
ガソリン税の暫定税率 | 25.1円 |
石油税 | 2.8円 |
消費税 | 15.45円 |
ガソリン税の暫定税率が廃止された場合は、単純計算でガソリン価格が170円/L → 144.9円/Lになります。
さらに消費税についても97.95円 → 約94.95円まで下がります。
これは、消費税がガソリンの本体価格ではなく、税金も含めた金額で課税されているためです。
結果的にガソリン税の暫定税率が廃止された場合は、ガソリン価格が170円/L → 141.9円/Lになると想定されます。
※2025年5月22日からガソリン価格補助(燃料油価格定額引下げ措置)により1リットルあたり10円の補助が行われています。暫定税率の廃止により補助金が停止される可能性があります。

そのため、税金にまた税金がかかっているとして「二重課税ではないか?」と問題視されることもあります。
政府は、こうした批判に対してガソリン税と消費税では納税義務者が異なることから二重課税には当たらないという立場を取っています。
ガソリン税の暫定税率に関するよくある質問(Q&A)
ここからは、ガソリン税の暫定税率に関するよくある質問(Q&A)をまとめています。
Q、ガソリン税の暫定税率の廃止で本当にガソリン代は安くなるの?
はい。安くなる可能性が高いです。
現在のガソリン価格(170円/L)で暫定税率が廃止された場合は、141.9円/Lまで下がることが期待されています。
ただし、2025年5月22日からガソリン価格補助(燃料油価格定額引下げ措置)により1リットルあたり最大10円の補助が行われています。
この暫定税率の廃止に伴って補助金制度がなくなった場合、ガソリン価格の値下がりは若干穏やかなものになります。
また、暫定税率が廃止される時期に為替変動により円安が進んだ場合は、ガソリン価格が高騰する可能性もあります。
Q、ガソリン税の暫定税率の廃止は軽油も対象ですか?
対象外の可能性が高いです。
臨時国会で提出されたガソリン暫定税率廃止法案に軽油は含まれていません。
現在、軽油には、軽油引取税の暫定税率として1リットルあたり17.1円(本則税率は15円)が上乗せされています。
しかし、ガソリン税が国税である一方、軽油引取税は地方税となっています。
もし、廃止すれば自治体の歳入が大幅に減少することから、今回は見送られることになったようです。
最後に
今回は、ガソリン税の暫定税率について分かりやすく解説しました。
記事執筆時点では、年内の廃止を目指して前向きな議論が進められており、自動車を運転する人にとっては大きな関心事となっています。
物価高や燃料費の負担が続く中で、暫定税率の見直しは家計への直接的な影響があるだけに、今後の動向から目が離せないと言えるでしょう。
この記事の監修者

尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。
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