節税対策

【節税対策】役員報酬と別に通勤手当を支給しても損金算入できます

自宅から会社までの通勤にかかる費用を支給する”通勤手当”

通勤手当には「所得税」「住民税」が非課税になるメリットがあり、個人の税負担を下げることが可能です。

通勤手当は、従業員だけのものと思われがちですが、役員にも役員報酬とは別に支給することが可能です。

本記事のシミュレーションでは、

  • 個人の税金:年間5万9,400円
  • 法人の消費税:年間2万4,400円

を減らすことができました。

この記事では、役員報酬と別に通勤手当を支給する場合の損金算入や通勤手当の限度額について分かりやすく解説します。

通勤手当とは

まずは、通勤手当について簡単におさらいをしましょう。

通勤手当とは、会社が任意で支給する自宅から会社までの通勤にかかる費用に対する手当です。

厚生労働省では、

通勤に要する費用を支弁するために支給される手当であり、「労働の対償」として支払われるもの

と定義されています。

通勤手当は非課税

通勤手当として支給した金額は、

  • 所得税(復興特別所得税含む)
  • 住民税

が一定金額まで非課税扱いとなります。

国税庁のWebサイトでも次のように案内されています。

役員や使用人などの給与所得者に通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは一定の限度額まで非課税となっています。

国税庁:No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当

芦屋会計
ただし、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)と労働保険料(雇用保険料、労災保険料)については、通勤手当も含めて計算することになります。

例えば、年間の役員報酬500万円、通勤手当30万円であれば、

  • 税金 → 500万円を基準に算出
  • 社会保険料 → 530万円を基準に算出

となります。

通勤手当の支給で節税できる

冒頭でもお伝えしましたが、通勤手当を利用することで節税することが可能です。

個人の税金を節税

役員報酬を下げて、その分を通勤手当として支給すれば、個人の税金を減らすことが可能です。

例えば、

  • 通勤手当なし → 毎月の役員報酬が40万円
  • 通勤手当あり → 毎月の役員報酬が37万円 + 通勤手当が3万円

で1年間の「所得税」と「住民税」の合計額をそれぞれ比較してみます。

役員報酬40万円
年間の役員報酬 年間の交通手当 所得税 住民税
通勤手当なし 480万円 0円 12万7,900円 23万2,000円

合計:35万9,900円

役員報酬37万円 + 通勤手当3万円
年間の役員報酬 年間の交通手当 所得税 住民税
通勤手当あり 444万円 36万円 9万9,000円 20万1,500円

合計:30万500円

※基礎控除を適用しています。所得税には復興特別所得税を加算しています。社会保険料は14.4%で計算しています。会社や地域によって違ってきますので目安として考えてください。

役員への報酬額(通勤手当を含む)は480万円と全く同じですが、役員報酬を一部通勤手当にすることで「所得税」および「住民税」の合計負担額が35万9,900円 → 30万500円と5万9,400円も減りました。

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この差がそのまま個人の”手取り増”に繋がることになります。

会社の消費税を節税

役員報酬の一部を「通勤手当」にすることで会社の税金を減らすことが可能です。

役員報酬と通勤手当では、課税仕入れの有無が異なります。

具体的には、

  • 役員報酬 → 課税仕入れ対象外
  • 通勤手当 → 課税仕入れ対象(=仕入税額控除が認められる)

となります。

※ここでの通勤手当とは、その通勤に通常必要であると認められる部分の金額です。税金の非課税対象を超えていても該当します。

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例えば、売上高1,200万円(内消費税96万円)、仕入高700万円(内消費税56万円)の会社があったとします。

このとき消費税の納税額は、

  • 納付消費税額 = 96万円 - 56万円 = 40万円

と計算できます。

ここで、さらに役員に通勤手当を年間30万円(内消費税2万4,000円)支給していたとします。

すると、消費税の納税額は、

  • 納付消費税額 = 96万円 - 56万円 - 2万4,000円 = 37万6,000円

となり、消費税の負担が40万円 → 37万6,000円と2万4,400円も減りました。

通勤手当を支給することで消費税の負担が減ることが分かります。

逆に役員報酬の支給を増やしても消費税の負担は減りません。

通勤手当が非課税になる通勤方法

通勤手当は、電車やバスだけでなく、

  • マイカー(自家用車)
  • バイク
  • 自転車

での通勤も非課税の対象となります。

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ただし、

  • 会社に無断でマイカーや自転車で通勤し、それを会社に請求している
  • 正規のルートで通勤していない(必要以上に遠回りの定期代を請求するなど)
  • 新幹線のグリーン車代
  • タクシー通勤、運転手つき通勤

といったケースは、税法上、課税対象となりますので注意してください。

基本的には「最も経済的かつ合理的な経路」で通勤した場合が非課税の対象となります。

通勤手当の計算方法と限度額

続いては、通勤手当の計算方法と限度額についてチェックしていきましょう。

公共交通機関(電車、バス、新幹線など)で通勤しているケース

公共交通機関(電車、バス、新幹線など)では、一ヶ月の定期代までが非課税対象となります。

非課税の限度額は月額15万円までです。

マイカー、バイク、自転車で通勤しているケース

マイカー、バイク、自転車通勤は、片道の通勤経路に沿った距離で計算されます。

具体的には、次のように定められています。

片道の通勤距離 非課税の限度額
55km以上 31,600円
45km以上55km未満 28,000円
35km以上45km未満 24,400円
25km以上35km未満 18,700円
15km以上25km未満 12,900円
10km以上15km未満 7,100円
2km以上10km未満 4,200円
2km未満 全額課税
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注意点としては、通勤距離が2km未満だと通勤手当は非課税になりません。

なお、通勤距離は、Googleマップの「ルート検索・乗換」機能で簡単に測ることができるので活用しましょう。

自転車と電車で通勤しているケース

自宅から自転車と電車を利用して通勤していた場合、通勤手当の非課税はそれぞれを合算した金額となります。

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例えば、自宅から3km離れた駅まで自転車で向かって、そこから電車で会社の最寄り駅まで1ヶ月1万円で通勤していたとします。

この場合は、

  • 自転車 → 4,200円
  • 電車 → 1万円

の合計1万4,200円までが非課税となります。

役員報酬の通勤手当に関するよくある質問(Q&A)

ここからは、役員報酬の通勤手当に関するよくある質問をまとめていきます。

Q、役員に通勤手当を支給しても定期同額給与になる?

役員報酬とは別に通勤手当を支給しても定期同額給与になります。

ただし、

  • 他の従業員と同水準の支給額
  • 最も経済的かつ合理的な経路

である必要があります。

また、役員報酬には含めずに別枠で「旅費交通費」として仕訳をしなければなりません。

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通勤手当を役員報酬に含めて支給している場合は、通勤手当が損金算入できないだけでなく、定期同額給与として認められない可能性があるので注意しましょう。

役員報酬で知っておきたい「定期同額給与」の考え方を徹底解説

Q、役員報酬の通勤手当は株主総会および議事録の必要はありますか?

いいえ。通勤手当に関しては株主総会および議事録の必要はありません。

株主総会の決議が必要となる役員の報酬は、職務執行の対価であり実費である通勤手当は該当しません。

取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。

出典:会社法361条1項

最後に

通勤手当は、所得税や住民税が非課税となるだけでなく、消費税の負担も減らすことができます。

そのため、役員報酬に通勤手当を含めて支給していると損することになります。

社長がマイカーや通勤する場合であっても、通勤距離(2km以上)によっては通勤手当として支給できるので積極的に活用しましょう。

この他にも、ちょっとしたことで年間数十万円単位で節税できるケースがあります。

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