役員退職金を同じ会社から2回目に支給する注意点【分掌変更】

退職金は、老後生活の原資になるという側面から非常に税金が優遇されている所得です。

会社を退職した役員(取締役、会計参与、監査役)にも”役員退職金”という形で支給でき、上手く活用すれば個人の税金や法人税を下げることができます。

役員退職金は節税対策に効果的!功績倍率や分掌変更も解説

2020.06.26

さて、同族企業においては先代の社長が息子に社長の地位を譲ってからも実質的に経営に関与するケースがあります。

この際は、

  1. 先代社長が引退して「非常勤役員」や「相談役」に就任する
  2. 先代社長がその役員を辞めて経営から退く

というタイミングで合計2回の役員退職金を支給することになります。

この記事では、役員退職金を同じ会社から2回目に支給するときの注意点について解説していきます。

役員退職金は同じ会社から2回目の支給もできる?

先に言っておくと、役員退職金は同じ会社から2回目の支給もできます。

ただし、役員退職金の2回目の支給をするためには、税務署から否認されないために分掌変更のルールに基づく必要があります。

具体的には、

  1. 常勤役員が非常勤役員になったこと
  2. 取締役が監査役になったこと
  3. 分掌変更の後の役員の給与がおおむね50%以上減少したこと

の3つが要件です。

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これらの要件を満たさない場合は、役員退職金の税制優遇を受けることができないので注意しましょう。

1、常勤役員が非常勤役員になったこと

2回の役員退職金を受け取る場合は「常勤役員」から「非常勤役員」になっておく必要があります。

非常勤役員とは、基本的には、常勤していない必要に応じて出勤する役員のことを言います。

ただし、法律上は「常勤役員」と「非常勤役員」で明確な基準はなく、名称にかかわらず勤務実態に基づいた複数の判断材料で判断されるため注意が必要です。

例えば、日本年金機構では、非常勤役員の判断基準が次のように示されています。(下記に該当すると社会保険の加入が生じます。)

  1. 当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。
  2. 当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。
  3. 当該法人の役員会等に出席しているかどうか。
  4. 当該法人の役員への連絡調整または職員に対する指揮監督に従事しているかどうか。
  5. 当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか。
  6. 当該法人等より支払を受ける報酬が社会通念上労務の内容に相応したものであって実務弁償程度の水準にとどまっていないかどうか。

出典:日本年金機構

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国税庁ホームページでは、常勤していなくても代表権があったり、実質的にその法人の経営上主要な地位にある場合は、役員退職金として取り扱われないとされています。

2、取締役が監査役になったこと

2回の役員退職金を受け取る場合は「取締役」から「監査役」になっておく必要があります。

監査役とは、会社法に規定のある役員の一つであり、取締役の職務執行を監査(監督・検査)することが役割です。

監査の役割としては「会計監査」と「業務監査」に分けられます。

監査の内容
会計監査 企業が提示する財務諸表等の書類について会計基準に準拠しているかチェックします。これにより株主に不利益な行為を防ぐとともに財務諸表等の信頼性が向上します。
業務監査 企業の会計業務以外の業務(組織や制度など)を対象に法令を遵守して行われているかをチェックします。これにより企業の不正や不祥事を防ぐことができます。

なお、監査役の設置は、非上場企業では原則任意であり、監査役がいなくても問題はありません。

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国税庁ホームページでは、監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合や使用人兼務役員として認められない大株主である場合は、役員退職金として取り扱われないとされています。

3、分掌変更の後の役員の給与がおおむね50%以上減少したこと

2回の役員退職金を受け取る場合は「非常勤役員」「監査役」となることから、それに応じて役員報酬も50%以上減額させる必要があります。

それに伴って役員退職金の2回目の支給額も少なくなることになります。

まず、過去の裁判所の判決により役員退職金は、次のように計算可能です。

役員退職金 = 役員報酬(月額) × 在任期間 × 功績倍率

上記の計算式を見ていただければ分かる通り、役員報酬(月額)の変動に伴って役員退職金も増減することが分かります。

また、昭和56年11月18日の東京高裁判決では、功績倍率について「社長3.0、専務2.4、常務2.2、平取締役1.8、監査役1.6」が合理的という判決が出されているため、原則、社長時代より功績倍率も小さくなります。

例えば、役員報酬(月額)20万円、在任期間5年、功績倍率1.5倍の場合は、次のように求められます。

役員退職金 = 役員報酬(月額) × 在任期間 × 功績倍率 = 20万円 × 5年 × 1.5倍 = 150万円

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国税庁ホームページでは、分掌変更の後においても、その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる場合は、役員退職金として取り扱われないとされています。

最後に

役員退職金は同じ会社から2回目の支給をすることも可能です。

ただし、

  1. 常勤役員が非常勤役員になったこと
  2. 取締役が監査役になったこと
  3. 分掌変更の後の役員の給与がおおむね50%以上減少したこと

の要件を満たす必要があります。

ただし、これらは、実態を反映している必要があります。

「非常勤役員」「監査役」にしているにも関わらず、実質的に経営上の重要な地位を占めている場合は、役員退職金の税制優遇や損金算入が認められません。

役員退職金は、金額も大きいことから上手く活用することで節税効果も高まります。

しかし、税金を安くしたいがあまり虚偽や不正を働くことは長期的にマイナスにつながる可能性があるため、認められた範囲をしっかりと確認してから支給することをオススメします。

大阪、京都、神戸限定にはなりますが、「認められた方法かつ最小限の手間で税金を安くするにはどうすればいいの?」などありましたら、私たちにお気軽にご相談ください。

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