税金の知識

消費税10%増税後「すまい給付金」の条件が変わる!受取額が最大50万円に

本記事で解説している”すまい給付金”の申請受付は終了しています。

2019年10月1日以降、消費税等(消費税及び地方消費税)が8%から10%に引き上げられる予定となっています。

それに伴い、政府では『キャッシュレス決済による最大5%のポイント還元制度』をはじめとした消費税増税後の景気後退対策を実施する予定です。

住宅関連でも消費税増税対策があり、その一つが住宅を取得する人を対象とした「すまい給付金」の受け取り条件の緩和です。

具体的には、

  • 給付額の上限:30万円 → 50万円
  • 収入額の範囲:510万円以下 → 775万円以下

が予定されています。

今後、新築住宅や中古住宅を取得する人にとっては、メリットが大きいと言えます。

この記事では、すまい給付金について消費税10%増税後に行われる条件の変更点について分かりやすく解説していきます。

2021年度の税制改正により「すまいの給付金」の住宅の引き渡し期限の延長および床面積の要件緩和が行われました。

すまい給付金とは

すまい給付金とは、住宅を取得したときに国から給付金がもらえる制度です。

2014年4月、消費税が5%から8%に引き上げられた際、住宅取得に係る消費税の負担増加を緩和するために実施されました。

芦屋会計
富裕層ほど有利な「住宅ローン減税」の不公平を是正する意味合いもあります。

給付額(条件の変更点)

すまい給付金は、住宅取得者の収入によって給付額が変わってきます。

また、冒頭でお伝えしたとおり、2019年10月1日以降の消費税増税(8%→10%)により、「収入の要件」と「給付額」が緩和される予定です。

現行(消費税8%)

取得した住宅が

  • 工事請負契約日:2019年3月31日まで
  • 引き渡し日:2019年9月30日まで

のいずれかに当てはまる場合は、消費税8%が適用され、以下の給付額となります。

収入額の目安 住民税(都道府県民税)
所得割額
給付基礎額
425万円以下 6.89万円以下 30万円
425万円超〜475万円以下 6.89万円超〜8.39万円以下 20万円
475万円超〜510万円以下 8.39万円超〜9.38万円以下 10万円

消費税の増税後(消費税10%)

取得した住宅が

  • 工事請負契約日:注文住宅の新築は2020年10月1日~2021年9月30日、分譲住宅・既存住宅は2020年12月1日~2021年11月30日
  • 引き渡し日:2019年10月1日から2020年年末まで 2022年12月末まで延長されました

の両方に当てはまる場合は、消費税10%が適用され、以下の給付額となります。

関連記事:【経過措置】消費税が10%に増税!新築住宅の契約・引き渡し期限まとめ

収入額の目安 住民税(都道府県民税)
所得割額
給付基礎額
450万円以下 7.60万円以下 50万円
450万円超〜525万円以下 7.60万円超〜9.79万円以下 40万円
525万円超〜600万円以下 9.79万円超〜11.90万円以下 30万円
600万円超〜675万円以下 11.90万円超〜14.06万円以下 20万円
675万円超〜775万円以下 14.06万円超〜17.26万円以下 10万円

※住民税の所得割額は、市区町村が発行する「課税証明書」で確認できます。

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2019年10月1日以降の消費税増税8%→10%と同時に

  • 給付額の上限:30万円 → 50万円
  • 収入額の範囲:510万円以下 → 775万円以下

と大幅に拡大されることが分かります。

例えば、これまで年収550万円の方は「すまい給付金」の対象外でしたが、収入額の範囲が拡大されることにより、住宅取得時に30万円の給付金を受け取ることができます。

対象の住宅

自らが居住するために購入した

  • 新築住宅(工事完了から1年以内)
  • 中古住宅(売主が宅地建物取引業者)

が対象になります。

さらに「すまい給付金」の対象となるには、次の要件を満たさなければなりません。

新築住宅 中古住宅
住宅ローンの利用がある場合 (1)床面積が50㎡以上 40㎡以上(壁芯寸法)※緩和されました
(2)次のいずれかに該当する住宅
・住宅瑕疵担保責任保険に加入した住宅
・建設住宅性能表示を利用する住宅
・住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅
(1)床面積が50㎡以上 40㎡以上(壁芯寸法)※緩和されました
(2)次のいずれかに該当する住宅
・既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅
・既存住宅性能表示制度を利用した住宅(耐震等級1以上に限る)
・建設後10年以内で住宅瑕疵担保責任保険に加入している住宅 または 建設住宅性能表示を利用している住宅
現金取得者の場合
(追加要件)
上記に加えて以下の要件が必要です。
(1)年齢が50才以上(住宅の引き渡しを受けた年の12月31日時点)
(2)収入額の目安が650万円以下(住民税の所得割額が13.30万円以下)※消費税10%のとき
(3)住宅金融支援機構のフラット35Sと同等の基準を満たす住宅
上記に加えて以下の要件が必要です。
(1)年齢が50才以上(住宅の引き渡しを受けた年の12月31日時点)
芦屋会計
中古住宅は、個人が不動産を介して売却した場合、消費税が非課税(0%)となります。

そのため、消費税の増税に伴って創設された「すまい給付金」も給付の対象外です。

住宅を複数名義で取得した場合

住宅を「夫婦」や「親子」など、複数名義で取得した場合は、持分割合に応じて給付を受けることになります。

計算式は、

給付金額 = 給付基礎額 × 持分割合

となります。

例えば、消費税10%適用時に2世帯住宅を「親1人」と「子1人」の名義で組んで取得したケースを想定してみます。

名義 年収 持分比率 給付基礎額 給付金額
700万円 70% 10万円 10万円 × 70% = 7万円
400万円 30% 50万円 50万円 × 30% = 15万円

給付額の合計:22万円

芦屋会計
仮に親が一人で取得した場合は、給付金額は10万円です。

年収だけでなく、住宅の所有権の割合を表す「持分比率」でも給付金額が大きく変わってくるケースがあるので注意しましょう。

すまい給付金の申請方法

すまい給付金は、住宅の引き渡しから1年3ヶ月以内に申請しなければなりません。

必要書類

すまい給付金の「申請窓口」または「ホームページ」から入手できる給付申請書に加えて、以下の確認書類が必要になります。

新築住宅 中古住宅
住宅ローンの利用がある場合 (1)住民票の写し
(2)不動産登記における建物の登記事項証明書・謄本
(3)個人住民税の課税証明書(非課税証明書)
(4)工事請負契約書または不動産売買契約書
(5)住宅ローンの金銭消費賃借契約書
(6)振込口座が確認できる書類(通帳等)
(7)施工中等の検査実施が確認できる書類(次のいずれか1点)
・住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書
・建設住宅性能評価書
・住宅瑕疵担保責任保険法人検査実施確認書
(1)住民票の写し
(2)不動産登記における建物の登記事項証明書・謄本
(3)個人住民税の課税証明書(非課税証明書)
(4)不動産売買契約書
(5)中古住宅販売証明書
(6)住宅ローンの金銭消費賃借契約書
(7)振込口座が確認できる書類(通帳等)
(7)売買時等の検査実施が確認できる書類(次のいずれか1点)
・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書
・既存住宅性能評価書(耐震等級1以上のものに限る)
・住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書
・建設住宅性能評価書
現金取得者の場合
(追加要件)
上記の(5)を除く確認書類に加えて以下が必要です。
(1)フラット35S基準への適合が確認できる書類(次のいずれか1点)
・フラット35S適合証明書
・現金所得者向け新築対象住宅証明書
・長期優良住宅建築等計画認定通知書
・設計住宅性能評価書(建設住宅性能評価書でも可)
・低炭素建築物新築等計画認定通知書
・BELS評価書(☆2以上)
上記の(6)を除く確認書類が必要です。

最後に

2019年10月1日に消費税が8%→10%に上がる予定です。

これにより、

  • 建物の本体価格
  • 給排水引込工事費
  • 解体工事費
  • 不動産登記費用(司法書士手数料)
  • 引越し費用

など、住宅取得に係る幅広い項目で消費税の負担が増えてしまいます。

ただ、消費税の増税前は、駆け込み需要が大きくなり、通常より工事費用などが高額になるケースもあるので注意したいところです。

また、政府では消費税増税による景気後退を懸念して「住宅ローン控除の期間延長」「すまい給付金の上限引き上げ」といった住宅関連の減税制度が拡大される予定になっています。

一概に「消費税が増税するから、早くしたほうが得」という訳ではないということです。

※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。

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