CFD取引によって利益を得ることができた。
そんなときに気になるのが、税金の扱いについてです。
会社員が報酬をもらったり、事業により利益を得たり、年金を受給したりすると税金がかかります。
CFD取引も同じく、儲けたお金については国が定めた計算方法で税金を算出して納めなければなりません。
この記事では、CFD取引の税金の扱いについて詳しく解説していきます。
目次
CFD取引とは
まずは、CFD取引について簡単におさらいしましょう。
CFD取引とは、株式、国債、FX、不動産(REIT)など、数ある金融商品の一つであり、一般的に”差金決済取引”と呼ばれています。
現物の株式取引では、実際に株式を購入して取引を行う必要があるため、あらかじめ一定の自己資金を用意しなければなりません。
一方、CFD取引は、株式等有価証券の取引はなく、差額のみを決済する仕組みです。
担保として証拠金を預ければ、レバレッジにより大きな取引を行うことができるので少額の資金から大きな利益を得ることもできます。
日本では、株式会社東京金融取引所が運営する”くりっく株365″のみで取り扱っており、
- 株価指数(日経225、NYダウ、DAX、FTSE100)
- ETF(金ETF、原油ETF)
といった銘柄があります。
これらは、IG証券、GMOクリック証券、DMM.com証券、楽天証券、サクソバンク証券などの証券会社で口座開設することで売買可能です。

CFD取引で発生した利益には税金がかかる
CFD取引により発生した利益には、税金がかかってきます。
税率は、
- 所得税15%
- 住民税5%
- 復興特別所得税0.315%
の合計20.315%です。
※平成25年1月1日から令和19年12月31日までの25年間は、復興特別所得税として所得税額に2.1%を乗じた金額を納付する必要があります。

原則、所得税は、給与所得、事業所得、不動産所得、一時所得、雑所得などを合算した収入が増えるほど高い税率が課されます。
しかし、CFD取引の場合は、分離課税であることから利益が増えたとしても税率が上がることはありません。
損益通算できる
CFD取引で損失が発生した場合は、損益通算することも可能です。
損益通算できるのは、
- 先物・オプション取引
- 外国為替証拠金取引(FX)
です。
株式取引や投資信託とは、損益通算できないため注意しなければなりません。

そのときは、FXの利益からCFD取引の損失を差し引き、200万円の儲けとして申告することが可能です。
3年間の繰越控除ができる
CFD取引の損失を損益通算したけど、その年に控除しきれない金額があった。
そのときは、翌年以降3年間にわたって
- CFD取引
- 先物・オプション取引
- 外国為替証拠金取引(FX)
で発生した利益から控除することが可能です。

FXで発生した損失200万円と損益通算したが、それでもなお100万円が控除しきれなかった。
そのときは、その100万円を翌年以降3年間にわたって繰越控除することが可能です。
CFD取引は確定申告が必要となる
CFD取引で利益が発生した場合は、原則として確定申告が必要となります。
なぜなら、CFD取引では、株式取引のような特定口座(株式を売買するたびに税金が自動的に差し引かれる口座)を選択できないからです。
ただし、
- 会社員で給与所得が2,000万円以下かつその他の所得(給与所得と退職所得を除く)の合計額が20万円以下
- 会社員以外(自営業、専業主婦、無職者など)で所得が48万円以下
であれば、確定申告が不要となります。
必要経費の計上で節税しよう
CFD取引では、必要経費の計上により税金を減らすことができます。
例えば、
- 勉強のために購入した書籍
- セミナー参加のための受講料や教材費、交通費
- トレードに必要なスマートフォン、パソコン、モニター、通信費
などは必要経費にできる可能性があります。
ただし、スマートフォンをCFD取引だけでなく、プライベートでも使っている場合は、使用割合に応じて経費にしなければなりません。
損失が発生しても確定申告をしよう
CFD取引で損失が発生した場合は、確定申告の必要はありません。
しかし、
- 損益通算
- 3年間の繰越控除
といった税制面の恩恵を受けるには、確定申告が必要となります。
なお、3年間の繰越控除を継続して利用したい場合は、確定申告も継続的に行わなければなりません。
最後に
今回は、金融商品の一つであるCFD取引の税金の扱いについて解説しました。
CFD取引では、株式取引と同じく申告分離課税により利益部分に対して20.315%の税金が課せられます。
また、特定口座を選択できないことから原則として確定申告が必要となるので注意しましょう。
もし、CFD取引で大きな利益が出ているにも関わらず申告をしていなかった場合は、本来納めるべき税金に加えてペナルティを科せられる可能性があります。
この記事の監修者

尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。
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