消費税

レジ袋有料化で消費税の仕訳が複雑化!レシートの記載も必要に

皆さんご存知のとおり、2020年7月1日からレジ袋の有料化がスタートしました。

これにより販売店は、顧客が商品を購入した際、プラスチック製買い物袋の無料配布が原則禁止になっています。

もし、レジ袋の有料化義務違反が判明した場合は、国による勧告・公表・命令などが行われ、最悪の場合は50万円以下の罰金が科せられます。

これまで顧客にレジ袋を配布していた小売店は、

  • レジ袋の有料化案内のPOPやポスターの設置
  • お客さまに商品を販売する際、スタッフによるレジ袋の有無の確認

などが必要です。

それだけでなく、食品だけを扱っている小規模小売店にとっては、レジ袋の有料化により複雑な経理処理もしなければなりません。

この記事では、レジ袋有料化に伴う消費税の扱いや経理処理などについて解説していきます。

レジ袋の消費税は標準税率10%が適用される

レジ袋の有料化で気をつけておくべきことは、プラスチック製買い物袋には消費税率10%が適用される点です。

このことは、経済産業省「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」にも明記されています。

プラスチック製買物袋を有償で提供する場合、中に入れる物にかかわらず袋について標準税率が適用されることとなり 10%の消費税が課されることとなる。

出典:経済産業省「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」

一方、2019年10月1日の消費税増税に伴う軽減税率の導入に伴って、飲食料品は軽減税率8%が適用されています。

つまり、これまで食料品などの軽減税率対象商品だけ取り扱っていた小売店は、レジ袋の有料化に伴って「軽減税率8%」「標準税率10%」が混在するようになりました。

レジ袋有料化で複数税率対応レジの導入が必要になる

これまで食料品のみ(軽減税率対象商品のみ)を扱っていた小売店については、軽減税率の導入後も旧式のレジで問題ありませんでした。

しかし、先ほど解説したとおり、有料レジ袋の販売により

  • 軽減税率8%
  • 標準税率10%

が混在します。

これによりお客さまにお渡しするレシート・領収書にも消費税率ごとの区別をする必要が生じてきます。

-SUPER MARKET-
———————————————-
領収書
———————————————-
2020年10月26(月)12:00

※たまねぎ¥223
※じゃがいも¥256
※にんじん¥198
※鶏肉¥538
レジ袋¥3
———————————————-
8%対象¥1,215
10%対象¥3

合計¥1,218

※印は軽減税率(8%)対象品目

芦屋会計
領収書(レシート)に「8%対象」と「10%対象」が印字されているのが分かります。

このようにレシートに複数の税率を印字をする場合は、複数税率対応レジの導入が必要になります。

しかし、店舗の規模によっては、複数税率対応レジの導入に二の足を踏むこともあるでしょう。

その場合は、次の方法を用いることで「レジの改修を行わなくても複数税率に対応することができる」と経済産業省の「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」で案内されています。

複数税率未対応レジから発行される領収書等には、プラスチック製買物袋の消費税と標準税率10%の印字がなされないため、プラスチック製買物袋について顧客から求められた場合には領収書等に手書きやスタンプなどで、プラスチック製買物袋に係る消費税を追記する等によって対応。

出典:経済産業省「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」

芦屋会計
若干の手間はかかりますが、顧客が有料レジ袋を購入する際は、手書きやスタンプなどによって対応しても問題ないということです。

レジ袋有料化で複数税率の経理処理が必要になる

レジ袋有料化に伴って複数税率を扱うようになった場合、経理処理の対応も必要となります。

商品を販売・購入したときの仕訳は、次のとおりです。

商品を販売するときの仕訳
借方 金額 貸方 金額 備考
現金 1,080円 商品売上高 1,080円 課税売上8%
現金 3円 レジ袋売上高 3円 課税売上10%
商品を購入するときの仕訳
借方 金額 貸方 金額 備考
仕入 1,080円 現金 1,080円 課税仕入8%
レジ袋代金 3円 現金 3円 課税仕入10%
芦屋会計
たった3円のレジ袋についても消費税額を正しく計算するために分けて入力する必要が生じてきます。

そのため、会社の経費で来客用のお弁当などを購入する場合は、経理の手間を軽減するためにもエコバックなどを活用してもらう必要があるでしょう。

レジ袋の在庫で売上を把握する方法

レジ袋の在庫を確認することでレジ袋の売上高を計算することも可能です。

これにより商品を販売するときに

  • 軽減税率8%(飲食料品)
  • 標準税率10%(レジ袋)

を分けて仕訳する必要がなくなります。

例えば、とあるパン屋の3ヶ月間のレジ袋売上高を含めた総売上が180万円だった場合を見てみましょう。

まずは、商品代金とレジ袋代金を混合して仕訳をします。

商品を販売するときの仕訳
借方 金額 貸方 金額
現金 1,800,000円 商品売上高 1,800,000円

レジ袋の使用枚数

レジ袋の売上高を算出するためにレジ袋の使用枚数を割り出します。

レジ袋の在庫状況については「期首100枚」「期末80枚」であり、この期間にレジ袋を300枚仕入れたとします。

このときのレジ袋の使用枚数は、次のように計算できます。

レジ袋の使用枚数 = 期首100枚 – 期末80枚 + 仕入300枚 = 320枚

レジ袋の売上高

レジ袋が1枚あたり3円だった場合は、次のようにレジ袋の売上高を計算できます。

レジ袋の売上高 = レジ袋の使用枚数 – 1枚あたりの単価 = 320枚 × 3円 = 960円

有料レジ袋を除く売上高は、1,799,040円(= 1,800,000円 – 960円)と計算でき、次のように仕訳が可能です。

商品を販売するときの仕訳
借方 金額 貸方 金額 備考
現金 1,799,040円 商品売上高 1,799,040円 課税売上8%
現金 960円 レジ袋売上高 960円 課税売上10%

有料レジ袋にかかる消費税の端数処理

レジ袋には、標準税率10%が適用されます。

例えば、顧客が有料レジ袋5円を購入した場合、消費税は0.5円となります。

このときの小数点以下の端数処理(四捨五入、切り捨て、切り上げ)ですが、各々の事業者の判断に委ねられています。

そのため、端数処理を切り捨てにしていれば有料レジ袋5円の消費税は0.5円ですが、切り捨てにより消費税は0円となります。

ただし、適格請求書等保存方式(インボイス方式)では、消費税の端数処理を1つの請求書につき、税率区分ごとに1回までと定めています。

Q. 適格請求書には、税率ごとに区分した消費税額等の記載が必要となるそうですが、消費税 額等を計算する際の1円未満の端数処理はどのように行えばよいですか。

A. 適格請求書の記載事項である消費税額等については、一の適格請求書につき、税率ごとに1 回の端数処理を行います(新消令70の10、インボイス通達3-12)。 なお、切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすること ができます。

出典:国税庁

そのため、有料ゴミ袋を含めて標準税率10%の商品を合算した上で消費税の計算と端数処理をしなければなりません。

消費税の小数点以下の端数処理(四捨五入、切り捨て、切り上げ)を解説

最後に

レジ袋の有料化に伴って事業者によっては対応を迫られます。

ゴミ袋を販売する場合は、1枚あたりの価格が1円未満になる価格設定は認められていません。

もし、これまで通りにレジ袋を無料で配布するのであれば、

  • 紙袋、布の袋、手持ち袋のない袋
  • フィルムの厚さが50マイクロメートル以上の袋
  • 海洋生分解性プラスチックの配合率が100%の袋
  • バイオマス素材の配合率が25%以上の袋

を利用しなければなりません。

しかし、これらのレジ袋有料化の対象外となっている袋を採用する場合は、コストアップを避けることはできません。

長期的な目線で考えるのであれば、複数税率に対応した環境を整える必要があるでしょう。

※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。

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