法人税

法人住民税の均等割額とは?赤字でも発生・免除はできる?

法人が負担する税金は、

  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税

の3つに分類できます。

この中でも知っておきたいのが、法人住民税の”均等割額”です。

このうち、会社の利益(所得)に応じて加算される法人税と法人事業税と違って、赤字でも発生する税金となります。

この記事では、法人住民税の均等割額について詳しく解説していきます。

法人住民税とは

法人住民税とは、会社などの法人、収益事業を行う社団または財団に課せられる地方税です。

納税義務者は、都道府県および市区町村に

  • 事務所または事業所を有する法人(均等割額、法人税割額)
  • 寮、宿泊所、クラブその他これらに類する施設(寮等)を有する法人(均等割額 )
  • 法人課税信託の引受けを行うことにより法人税を課される個人(法人税割額)

となります。

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例えば、大阪府大阪市に事業所があれば、

  • 大阪府
  • 大阪市

に法人住民税を納めることになります。

法人住民税は「法人税割」と「均等割」の2種類

法人住民税は「法人税割」と「均等割」の2種類に分けることが可能です。

なお、法人住民税の計算式は、次のようになります。

法人住民税 = 法人税割 + 均等割

法人税割

法人税割は、法人税に税率を乗じて計算できます。

法人税割額 = 法人税 × 市町村民税の税率 + 法人税 × 道府民税の税率

法人税は、その年の所得に対してかかる税金です。

そのため、会社の所得が増えれば増えるほど法人税割の負担も大きくなることになります。

逆に会社が赤字であれば、法人税割の負担はゼロです。

均等割

均等割は「資本金」と「従業員の数」によって税額が決まります。

こちらは、法人税に応じて税額が決まる「法人税割」とは違って、赤字であっても支払わなければなりません。

また、均等割の税額は、事業所等を設置している「道府県」「市町村」によって異なり、ホームページなどで確認できます。

大阪府大阪市の均等割

今回は、大阪府大阪市の均等割を計算してみます。

まずは、大阪府と大阪市のホームページで均等割の税額を確認しましょう。

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GoogleやYahooで「自治体名 + 均等割」と検索すれば表示されます。

均等割についてのページが見つけられなかったり、記載がややこしい場合は、各自治体の窓口に直接問い合わせてみましょう。

【大阪府】

法人等の区分 均等割(年額)
平成13年4月1日から令和4年3月31日まで
の間に開始する事業年度
資本金等の額が1千万円以下である法人など(※) 20,000円
資本金等の額が1千万円を超え1億円以下の法人 75,000円
資本金等の額が1億円を超え10億円以下の法人 260,000円
資本金等の額が10億円を超え50億円以下の法人 1,080,000円
資本金等の額が50億円を超える法人 1,600,000円

参考:大阪府ホームページ/令和2年1月現在

【大阪市】

法人の均等割の税率
法人の区分 従業者の数の合計数 税率(年額)
1 (1)法人税法第2条第5号に規定されている公共法人で均等割が課税されるもの
(2)地方税法第294条第7項に規定する公益法人等で均等割が課税されるもの
(3)人格のない社団または財団で収益事業または法人課税信託の引受けを行うもの
(4)一般社団法人・一般財団法人(非営利型を除く。)
(5)法人で資本金の額または出資金の額を有しないもの
従業者数に
かかわらず
50,000円
2 資本金等の額が1,000万円以下の法人 50人以下 50,000円
50人超 120,000円
3 資本金等の額が1,000万円を超え1億円以下である法人 50人以下 130,000円
50人超 150,000円
4 資本金等の額が1億円を超え10億円以下である法人 50人以下 160,000円
50人超 400,000円
5 資本金等の額が10億円を超え50億円以下である法人 50人以下 410,000円
50人超 1,750,000円
6 資本金等の額が50億円を超える法人 50人以下 410,000円
50人超 3,000,000円

参考:大阪市ホームページ/令和2年1月現在

例えば、大阪府大阪市に資本金等の額300万円、従業員数5人で事務所を構えているケースを考えてみましょう。

上の表に当てはめると均等割は、

  • 大阪府:20,000円
  • 大阪市:50,000円

合計70,000円となります。

さらに資本金等の額3,000万円、従業員数60人と条件を変更してみましょう。

すると均等割は、

  • 大阪府:75,000円
  • 大阪市:150,000円

合計225,000円となります。

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均等割は、資本金等の額や従業員数によって大きく変動することが分かります。

資本金等の額1,000万円と1,001万円、従業員数50人と51人など僅かな違いだけで税金の負担が大きく変わるので注意したいところです。

法人住民税の均等割のよくある質問(Q&A)

ここからは、法人住民税の均等割のよくある質問(Q&A)をご紹介していきます。

Q. 法人住民税における事務所の要件とは何ですか?

法人住民税における事務所の要件としては、「人的設備」「物的設備」「事業の継続性」の3つがあります。

法人住民税における事務所の要件
人的設備 正規従業員、役員、アルバイト、パートタイマー、派遣労働者など
物的設備 土地、建物、機械設備、自宅兼事務所など
事業の継続性 社会通念上そこで事業が行われていると考えられるもの
※2~3ヶ月程度の一時的な事業用に供される現場事務所や仮小屋などは該当しません。

Q. 均等割における「資本金等の額」とは何ですか?

法人住民税の均等割における「資本金等の額」とは、資本金と資本準備金の合計に相当する額です。

正しく言えば、法人税申告書別表5(1)の「36」の(4)の金額を言います。

出典:国税庁

ただし、過去に「無償増資」や「無償減資等による欠損填補」をしている場合は、次の比較により「資本金等の額」を確定させます。

A = 「資本金等の額」 – 「無償減資等による欠損填補に充てた額」 + 「無償増資額」

B = 「資本金」 + 「資本準備金」

それぞれを計算した結果、

  • A > Bであれば「A」
  • A > Bであれば「B」

が法人住民税の均等割における「資本金等の額」となります。

Q. 登記簿上の本店所在地は均等割の対象になりますか?

登記簿上の本店所在地を置いているだけで事業所等を有していない場合は、法人住民税の均等割の対象外となります。

例えば、大阪府大阪市に登記簿上の本店所在地を置いているだけであれば、「大阪府」および「大阪市」に法人住民税(法人税割および均等割)を納付する義務はありません。

ただし、名目的な本店だけで事業所等を有していない場合は、その旨の届出を都道府県や市区町村に提出する必要があります。

Q. 法人住民税の均等割は免除できますか?

法人住民税の均等割は、事業所を置いて営業活動を続けている限り、赤字でも免除してもらうことはできません。

ただ、収益事業を行わない場合は、課税免除の対象となります。

  1. 公益社団法人・公益財団法人で収益事業を行わないもの(大阪市市税条例第19条の2第1号)
  2. 認可地縁団体で収益事業を行わないもの(大阪市市税条例第19条の2第2号)
  3. NPO法人で収益事業を行わないもの(大阪市市税条例第19条の2第3号)

出典:大阪市

また、会社として何も活動していない”休眠状態”であれば、均等割を免除してもらえる可能性があります。

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均等割の免除の扱いについては、自治体によって多少異なるので「現在、営業活動や収益事業を一切していない」という場合は、相談してみるといいでしょう。

最後に

法人住民税の均等割は、赤字決算でも支払う義務のある税金です。

そして、均等割の金額は、

  • 資本金
  • 従業員数

の2つの要素によって増減します。

そのため「会社を設立する」「個人事業主から法人化(法人成り)する」といった場合は、資本金の金額に気をつけなければなりません。

会社設立時は資本金を自由に決めることができますが「カッコいいから」という理由だけで決めてしまうと無駄に税金が高くなってしまいます。

基本的には、

  • 取引先と付き合いをするため(主にBtoB)
  • 許認可事業を行うため(一般労働者派遣事業の2000万円など)

といった場合を除いて、資本金は1000万円未満に抑えておくべきです。

目安としては、初期費用 + 3ヶ月~半年までの運転資金を用意することをおすすめします。

もし、どうしても1000万円以上の資本金が必要であれば、社長が会社へ貸し付けるという形を取ることも可能です。

例えば、自己資金が1500万円あれば、

  • 資本金900万円
  • 借入金600万円

という形にすれば、資本金を1000万円未満に抑えることができ、運転資金も1500万円となります。

会社設立で失敗しないためには、資本金の他にも決算期、役員報酬、融資の申込、助成金・補助金の申請など、事前に押さえておくべきポイントはたくさんあります。

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