「国勢調査に答えると税金が高くなるのでは?」
そんな不安を感じたことはありませんか?
SNSや口コミでもよく見かける疑問ですが、実はこれは大きな誤解です。
国勢調査は一人ひとりの税額を決めるためのものではなく、人口や世帯の状況を把握し、社会全体の暮らしを支える統計データを作ることが目的です。
この記事では、国勢調査と税金の関係についての誤解を解き、法律的な根拠も踏まえながら「安心して答えて大丈夫」と言える理由をわかりやすく解説します。
国勢調査とは
まずは、国勢調査についておさらいしましょう。
国勢調査は、日本に住むすべての人と世帯を対象に5年ごとに実施される最も大規模で重要な統計調査です。
人口や世帯の実態を把握することで行政サービスの計画や地域の未来予測、企業のマーケティング戦略など、社会のあらゆる場面で活用されています。
対象者
国勢調査は、日本に住んでいるすべての人と世帯が対象です。
ここでいう「日本に住んでいる」とは、国籍に関係なく日本国内に居住している人を指します。
なお、海外に長期滞在している日本人は対象外です。
罰則あり
国勢調査は「統計法」に基づいて行われる基幹統計調査のひとつであり、回答には義務があります。
未回答・拒否・虚偽報告をした場合は、50万円以下の罰則規定があります。

基本的には、調査員や自治体から再三の依頼や督促が行われてから、どうしても回答を得られない場合に限って罰則が検討されます。
国勢調査で税金が高くなることはない
冒頭でも触れましたが、国勢調査の回答によって税金が高くなることはありません。
国勢調査には勤務先などの就業状況を回答する項目があることから「そこから収入を把握されてしまうのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、国勢調査は統計法に基づいて行われる調査であり、収集された情報は統計データとしてのみ利用されます。
回答内容が個人の税金計算や課税処理に使われることは一切なく、税務署や市区町村の税担当部署に共有されることもありません。
法律でも統計以外の目的に利用することを禁止
国勢調査で集められた情報は、税金の計算や徴収に利用することが法律で明確に禁止されています。
このことは総務省統計局でも明記されています。
問8-2 国勢調査で知ったことを、税金の徴収など、統計以外の目的に使うことはないのですか。
調査員を始め、調査関係者が調査で知り得た秘密を他に漏らしたり、統計以外の目的、例えば徴税などに調査票の記入内容を使用したりすることは絶対にありません。
これらの行為は統計法(総務省)別ウィンドウで開きます。という法律で固く禁じられています。調査関係者が調査で知り得た秘密を他に漏らした場合の罰則(懲役又は罰金)も定められています。

2007年に制定され、2009年から施行されました。
この法律の目的は、信頼性の高い統計を整備・提供し、国民生活や行政運営、企業活動に役立てることにあります。
国勢調査にも適用される法律であり、調査で得られた情報は統計以外の目的に使うことを禁止しています。
最後に
国勢調査には勤務先や就業状況などを回答する項目があるため、「税金に使われるのでは?」と不安に思う人も少なくありません。
しかし、国勢調査の目的はあくまで統計の作成であり、税金の計算や徴収に利用することは法律で固く禁止されています。
回答内容は匿名化された統計データとして処理され、学校や病院の整備、福祉政策、災害対策など、私たちの暮らしをより良くするために役立てられます。
つまり「国勢調査で税金が高くなる」というのは誤解であり、安心して回答できる調査なのです。
この記事の監修者

尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。
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