税務調査

税務調査が入る確率は?法人と個人事業主、業種を比較

「税務調査にお伺いしてもよろしいでしょうか?」

いつかかってくる分からない税務署からの電話に不安を抱いている方は多いのではないでしょうか?

この記事では、

  • 税務調査が入る確率
  • 税務調査に入られやすい業種・事業者

をまとめてみました。

税務調査に不安を抱いている方は、ぜひ参考にしてください。

税務調査が入る確率は3.1%

先に結論を言うと、税務調査が入る確率「実調率」は、

  • 法人で2.0%
  • 個人で0.7%

です。

税務調査が入った場合は、約80%の確率で誤りを指摘されて修正申告の提出が必要となります。

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確率で言えば、

  • 法人では約50年に1回
  • 個人では約143年に1回

です。

こう考えると、税務調査が入る確率は低く、そこまで過剰に心配する必要はなさそうです。

※令和5年度に行われた国税庁の調査データをもとにしています。
※実調率(税務調査が入る割合)とは、「税務調査(実地調査)の件数」を「調査対象の法人・個人の数」で除した数値になります。

実調率は減少傾向

次は、平成元年から平成27年までの「実調率」の推移ですが、法人・個人ともに減少傾向があります。

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平成元年と令和5年を比較すると、

  • 法人:8.5% → 2.0%(約76.4%の減少)
  • 個人:2.3% → 0.7%(約69.5%の減少)

と大幅に減少しており、どちらも半分以下の「実調率」になっています。

理由としては、

  • 申告件数の増加
  • 国際化による複雑化
  • 脱税手口の悪質巧妙化

などがあげられます。

税務調査はどんなことをするの?

税務調査とは、徴税機関(国税庁、税務署)が納税者の申告内容に不正や誤りがないかを調査することを言います。

税務調査の一般的な流れは、次のとおりです。

税務調査の流れ・スケジュール
1、税務署から事前連絡 税務調査の事前連絡が入り、日程調整を行います。会社や税理士の都合に合わせることができ、おおよそ1〜3週間先に調査日を決めることになります。
2、税務調査の準備 税務調査を無事に切り抜けるに事前準備を行うことが重要です。税務調査官から帳簿や領収書、請求書などの提出を過去3年分にわたって求められるので見直し作業をします。それに合わせて税務署から指摘される内容を想定して回答を準備しておくことも重要です。
3、税務調査 一般的な税務調査(実地踏査)は通常2日で終わります。税務調査官から質問があるので事前準備した内容で受け答えしましょう。
4、税務署から調査報告 税務署は税務調査(実地調査)で持ち帰った資料・情報をもとに分析をします。申告内容に問題がなければ申告是認(修正すべき点がない)の結果が通知。修正すべき点があれば問題があれば、指摘事項を伝えられます。もし、結果に納得がいかなければ、税務署と話し合いをして「不服申し立て」により処分の取り消しや変更、再調査を求めることも可能です。
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基本的に税務調査は、強制力のない任意調査となります。

よくテレビドラマや映画などで「突然大人数でやってきて会社のあちこちを徹底的に調べるシーン」がありますが、悪質で脱税額1億円超を対象としています。

このような国税局査察部(マルサ)が裁判所の令状を得て行う強制調査は、割合として全体の1%にも満たない数です。

ただし、税務調査が任意と言っても税務調査自体を拒否することはできません。

納税者ができることは、合理的な理由(病気や怪我、冠婚葬祭、仕事で重要な商談があるなど)に基づいて税務調査の日程を変更することになります。

税務調査の対象者の選定基準について

税務調査は事業を行っている限り、いつ入られてもおかしくはありません。

ここで気にあるのが、どのように税務調査の対象者が決定されるのかです。

まず、税務調査の対象者の候補は、国税庁と税務署の過去10年間程のデータが一元管理されているKSK(国税総合管理)システムにより機械的に抽出されます。

そして、税務署が候補の中から対象者を選定して税務調査が実施されます。

税務調査に入られやすい業種

KSK(国税総合管理)システムでは、脱税が多い業種などをもとにして候補者を選定しています。

次に紹介する業種は、

  • 不正がよく見つかる
  • 追徴課税を取りやすい

と見なされやすく、税務調査に入られやすい傾向があります。

平成28年度の「不正発見割合の高い10業種」
業種 不正発見割合
バー・クラブ 62.5%
外国料理 45.3%
大衆酒場、小料理 37.7%
廃棄物処理 30.5%
自動車修理 28,9%
土木工事
(道路工事、下水道工事、宅地造成工事など)
28.9%
パチンコ 28.6%
貨物自動車運送
(運送業)
27.1%
職別土木建築工事 26.2%
管工事
(冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事など)
26.2%
平成28年度の「事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種」
業種 1件当たりの申告漏れ所得金額 1件当たりの追徴税額(含加算税)
風俗業 2,083万円 519万円
キャバレー 1,667万円 318万円
プログラマー 1,178万円 175万円
畜産農業(肉用牛) 1,150万円 179万円
防水工事 1,109万円 191万円
ダンプ運送 1,097万円 132万円
型枠工事 1,015万円 160万円
特定貨物自動車運送 1,007万円 129万円
解体工事 998万円 144万円
とび工事 972万円 145万円

税務調査に入られやすい業種の傾向としては、

  • 現金取引による売上が多い(バー、クラブ、風俗業など)
  • 申告をしていない人が多い(管工事、解体工事、とび工事など)
  • モノではなくサービスを売っている(貨物自動車運送、プログラマーなど)

などがあげられます。

例えば、不正発見割合が最も高い「バー、クラブ」などは、

  • 売上は、個人のお客様から”現金”での支払い
  • 従業員への給料は、”現金”での手渡し

と銀行振込と違ってお金の流れが把握しづらくなっています。

また、個人が相手の場合は、企業間の取引と違って、注文書や請求書を発行することはなく、支払調書にも残らないため、売上の操作も容易です。

このような環境から、税金から逃れようと考える人も多く、税務署もそれを分かっていて目をつけます。

税務調査に入られやすい事業者

税務調査に入られやすい業種でなくても、気をつけておいた方が良い状況があります。

例えば、

  • 売上高が急増している
  • 利益率が大きく変動している
  • 利益率が業界平均と比べて低い
  • 特定の経費(交際費など)が突出して多い
  • 決算書上に突然今までにない項目が出ている
  • 過去に重加算税を受けている

といった状況です。

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上記に加えて、売上の規模が大きくて、利益が出ている企業は、発見される脱税額が大きいため、税務調査の対象になりやすくなっています。

売上が1,000万円をギリギリ超えない状況が続いている

毎回、課税売上高が1,000万円を超えないギリギリの範囲で申告をしていると税務署に疑われる可能性があります。

なぜなら

  • 課税売上高1,000万円を超えると消費税の納税義務が生じるから

です。

消費税の納税額は「預かった消費税 - 支払った消費税」から求めることが可能です。

例えば、売上高1,100万円(内消費税100万円)、仕入額440万円(内消費税40万円)だった場合は、次のように計算できます。

消費税の納税額 = 預かった消費税 - 支払った消費税 = 100万円 - 40万円 = 60万円

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消費税の納税義務が生じるかどうか。

極端に言えば、課税売上高が1,000万円か1,001万円か、たった1万円の差で税金の負担額が数十万円単位で変わることが分かります。

逆に言えば、毎回、課税売上高が1,000万円を超えないギリギリのラインで申告を続けていると、税務署からは「消費税の納税義務を逃れるために過少申告しているのでは?」と疑われて税務調査に繋がる可能性があります。

税務調査は無申告でもやってくる

税務調査は、確定申告をしていない”無申告”も例外ではありません。

例え、税務署に所得を隠していても

  • 支払調書
  • 資料せん
  • 反面調査
  • 知人からのタレコミ

などからバレる可能性があります。

税務署に無申告がバレて税務調査が行われた場合は、基本5年間にさかのぼって調査されます。

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「ここ2~3年無申告だけど、税務署から連絡がないから大丈夫だろう」と思って安心していても、突然連絡があって過去の未納分も合わせて請求されるかもしれません。

また、未納分だけでなく、最大40% + 延滞税の罰金も加算されて請求される可能性があります。

税務調査は無申告でも来る?最大40%の重加算税も

最後に

税務調査は、サラリーマンの副業を含めて、どのような業種、事業者でも入る可能性はあります。

ただ、一つ知っていいただきたいのは、税務調査は「正しい納税を促すための調査」であり、取り調べ・逮捕が目的ではありません。

つまり、正しい申告をしているなら、税務調査を過剰に怖がる必要はないということです。

もちろん、税金を安くしたいがあまり、虚偽や不正を働くことは許されませんが、意味のある節税対策は積極的に行うべきです。

そのために我々を含めた税理士がいます。

「認められた方法で税金を安くするにはどうすればいいの?」「税務調査に入られやすい業種・事業者だけど、この決算書で大丈夫だろうか?」などありましたら、私たちにご相談ください。

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※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。

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