マイホームを購入したい。
そんなとき、一昔前であれば新築住宅が一般的でした。
しかし、最近は、中古住宅を購入してからリフォームやDIYで自分好みに生まれ変わらせるケースも増えています。
新築住宅と比べて、価格もお手頃で同じ価格帯であれば、面積が広くなるなど、価格面のメリットが大きいのが魅力です。
さて、中古住宅を購入するときに気になるのが消費税です。
2014年4月、2019年10月の2度にわたって消費税率が引き上げられたことから無視できないコストになっています。
例えば、3,000万円の中古住宅に消費税がかかるとすれば、300万円も負担しなければなりません。
この記事では、中古住宅の購入時に気をつけておきたい消費税の取り扱いについて解説していきます。
中古住宅は消費税がかからない?
さっそくですが、本題に入りましょう。
「中古住宅は消費税がかかるのか?」という問いですが、答えは、売主によって異なるです。
具体的には、
- 売主が個人 → 消費税がかからない
- 売主が事業者 → 消費税がかかる
となります。
なお、売主が事業者であっても消費税が発生するのは、中古住宅の建物部分だけです。
土地については、使用しても消費されるものではない(価値は減少しない)という考えから非課税となっています。
まとめると次のとおりです。
売主が個人 | 売主が事業者 | |
---|---|---|
土地 | 消費税がかからない | 消費税がかからない |
建物 | 消費税がかからない | 消費税がかかる |
土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象とならないこととされています(非課税取引)
一方、売主が不動産屋などの事業者・法人である場合は、中古住宅の建物部分について消費税を支払う必要があります。
売主によって消費税の有無が違う理由
売主が「個人」と「事業者」で消費税の有無が違う理由は、消費税が課税される4つの要件を見ていただければ分かります。
消費税が課税される4つの要件
- 国内において行われる取引
- 事業者が事業として行う取引
- 対価を得て行う取引
- 資産の譲渡、資産の貸付け又は役務の提供
売主が個人の場合は「(2)事業者が事業として行う取引」に当てはまらないことから不課税扱い。
つまり、消費税の課税対象外となります。
中古住宅の売主をポータルサイトで見分ける方法
中古住宅の売主が個人かどうかは、SUUMO(スーモ)やホームズなどのポータルサイトでも簡単に確認ができます。
リクルートが運営する不動産情報サイト「SUUMO」の場合は、中古住宅の物件ページに進んでから「お問い合せ先」の項目で見分けることが可能です。
ここで取引形態が「仲介」または「代理」になっていれば、売主が個人である可能性が高くなります。
一方、取引形態が「売主」である場合は、ポータルサイトに登録している不動産会社が売主である可能性が高くなります。
不動産会社は、事業者であることから消費税がかかることになります。
- 仲介または代理 → 消費税がからない
- 売主 → 消費税がかかる
の可能性が高くなります。
もし、その物件が気になっているのであれば、一度、不動産会社に「消費税がかかるかどうか」を含めて問い合わせるといいでしょう。
売主が個人でも仲介手数料には消費税が課税される
売主が個人の場合は、中古住宅の売買に対する消費税は発生しません。
しかし、中古住宅を売買する場合は、不動産会社を通すのが一般的ですが、その売買契約の成功報酬である仲介手数料には消費税がかかってきます。
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で次のように上限が定められています。
売買価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の部分 | 売買価格の5%+消費税 |
200万円超400万円以下の部分 | 売買価格の4%+消費税 |
400万円超の部分 | 売買価格の3%+消費税 |
上記は、不動産会社が仲介手数料として請求できる上限ですが、多くの不動産会社は上限額を設定していることが一般的です。
例えば、中古住宅の売買価格が3,000万円だった場合は、
- 仲介手数料:96万円
- 消費税額:9万6,000円
の合計105万6,000円が仲介手数料としてかかってくる計算となります。
- 融資事務手数料
- 司法書士報酬
- 引越し費用
などの諸費用については売主に関係なく消費税が発生してきます。
最後に
冒頭でもお伝えしたとおり、2019年10月に消費税率が10%に上がりました。
これにより軽減税率の対象である飲食料品や新聞を除き、あらゆる商品・品目の税負担が大きくなりました。
もちろん、住宅も例外ではなく、取引金額が高いことから数十万円単位で負担が大きくなる計算です。
ただ、中古住宅を購入する場合は、売主が「個人」もしくは「事業者」で消費税の有無が異なってきます。
ほぼ同じ金額と条件の中古住宅であっても売主によって総額が大きく変わることがあるので注意をしたほうがいいでしょう。
なお、中古住宅を取得した場合でも住宅ローン控除(減税)の対象になる可能性があります。
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。
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