建設業に携わる方なら耳にすることの多い”安全協力会”
安全協力会とは、土木・建築現場などの工事を安全に行うために協力会社や下請け会社に対して注意喚起を促すために作られる会です。
安全協力会は法律で事細かく定められているわけではなく、会社によっても活動内容はさまざまです。
一般的には、
- 過去の事故事例の紹介
- 安全の心構え
- 安全に関するポスターやチラシなどの配布
- ヒヤリ・ハット(事故に直結してもおかしくない出来事)の話し合い
- 優良現場への表彰
など”安全に対する意識を高める”といった活動が中心となっています。
さて、そんな安全協力会ですが、安全大会や懇談会を始めとして労働保険の保険料など、さまざまな費用が発生します。
これらの費用は、通常、安全大会を主催している元請け会社が”協力会社”や”下請け会社”から「定額」や「工事請負金額の○%」といった形で徴収しています。
ここで気になるのが、安全協力会費は消費税10%の課税対象になるのかどうかです。
この記事では、建設業界で目にすることの多い安全協力会費の消費税の扱いについて解説します。
原則、安全協力会費は消費税の課税対象外
先に結論を言っておくと、原則、安全協力会費には消費税が課税されません。
なぜなら、安全協力会費は、役務の提供などの明らかな対価性が判定できないからです。
国税庁のWebサイトでも次のように記載されています。
同業者団体や組合などに支払う会費や組合費などが課税仕入れになるかどうかは、その団体から受ける役務の提供などと支払う会費などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。
保険料は対価関係にあたらないことから一般的には課税対象外(不課税取引)となります。
消費税の課税対象となる可能性もある
ただし、安全協力会費の使いみちによっては、消費税の課税対象となる可能性もあります。
具体的には、
- 懇親会
- 研修会
- 福利厚生
など、対価性が高い名目で会費を徴収されている場合は、消費税の課税仕入となります。
しかし、その場合であっても元請会社側は、保険料などの名目で計上するケースが多いことから課税対象外として扱われる可能性が高くなります。
最後に
安全協力会費は、建設現場において安全に工事を進めるために元請会社から徴収される費用です。
下請け会社は、売上の数パーセントを相殺して引き落とされることが多く、主に労働保険などの社会保険料に充てられるケースが多くなっています。
原則として消費税の課税対象外として扱われることから、不課税取引として処理しておけば無難です。
なお、安全協力会費の法的根拠としては、建設業法と建設業法施行令の2つがあります。
(下請負人に対する特定建設業者の指導等)
第二十四条の六 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。出典:建設業法24条の6
(法第二十四条の六第一項 の法令の規定)
第七条の三 法第二十四条の六第一項 の政令で定める建設工事の施工又は建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定は、次に掲げるものとする。出典:建設業法施行令7条の3
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。
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