税金の知識

金の売買でかかる税金とは?知っておきたい仕組みと注意点

2018年頃から金の価格が上昇し続けています。

金は埋蔵量に限りがある現物資産であり、世界中で価値が認められていることから投資先としても常に人気があります。

そのため、株式投資や不動産投資などとともに金を保有している方も多いのではないでしょうか。

ここで気になるのが、金を売買したときにかかる税金です。

利益が出た場合には課税対象となるケースがあり、場合によっては確定申告も必要になります。

仕組みを理解していないと、思わぬ税負担や申告漏れにつながることもあるため注意が必要です。

金の売買でかかる税金とは

金の売買でかかる税金とは「買ったときより高く売って得た利益」に対してかかる税金を言います。

売却時に得た利益は所得として扱われ、次のいずれかに該当します。

  • 譲渡所得
  • 事業所得
  • 雑所得

なお、いずれも給与所得などの所得をまとめて一つにして税金を計算する総合課税扱いとなります。

譲渡所得に該当するケース

金の売却による利益は、譲渡所得として扱われるケースがほとんどです。

譲渡所得とは、土地や建物、株式、貴金属(例:金地金・インゴット、金貨、プラチナ)などの資産を売却して利益が出た場合に課される所得区分を言います。

例えば、

  • インゴットを数年前に購入し、金価格が上昇したため売却した
  • 投資用の金貨を保有しており、値上がり時に売却した
  • 金の地金を贈与で受け取り、その後価格が上がったため売却した

などのケースです。

事業所得に該当するケース

金の売買を反復的かつ継続的に行っている場合は、事業所得として扱われる可能性があります。

事業所得とは、事業を営むことで得られる所得であり、金の売買においては「金を仕入れて売る」といった販売活動が該当します。

例えば、

  • 仕入れと販売を日常的に行っている
  • 利益を得る目的で販売活動をしている
  • 帳簿をつけて管理している
  • 販売数量が多く、資産運用ではなく商取引に近い
  • 個人事業として届出をしている、または実態がある

といったケースで事業所得とみなされる可能性が高まります。

雑所得に該当するケース

譲渡所得もしくは事業所得のどちらにも該当しない場合は、雑所得として扱われるケースがあります。

所得税法上のどの所得区分にも明確に当てはまらない場合に使われる所得区分です。

金の売買においては、個人の副業やお小遣い稼ぎで継続的に行われている場合に当てはまります。

例えば、

  • 事業として届け出ていないが、時々金製品を仕入れて転売している
  • 原価計算や帳簿付けをしておらず、商売とも資産売却とも言い難い状態

といったケースです。

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金を現物ではなく、

  • 純金積立
  • 金ETF
  • 金先物取引・CFD

などの金融商品で購入していた場合は、源泉分離課税に該当するケースがあります。

源泉分離課税では、利益が支払われる段階で税金20.315%が源泉徴収されて納税が完了する仕組みであり、確定申告の必要もありません。

金の売買における所得の計算方法

金の売買における所得の計算方法を解説します。

譲渡所得

金の売買が譲渡所得に該当する場合は、次のように計算します。

まずは、金の売買による利益を計算します。

利益 = 売却価格 -( 取得価格 + 経費 )

譲渡所得は、金の所有期間によって計算方法が異なります。

所有期間が5年以内のもの

譲渡所得 = 利益 - 特別控除50万円

所有期間が5年を超えるもの

譲渡所得 =( 利益 - 特別控除50万円 )× 1/2

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金の所有期間が5年を超えた場合は、利益から50万円を差し引いてさらに半分の金額にできます。

そのため、金を5年以上保有してから売却したほうが税金の負担を減らすことが可能です。

事業所得

金の売買が事業所得に該当する場合は、特別控除50万円が適用されません。

事業所得 = 売却価格 -( 取得価格 + 諸経費 )

雑所得

金の売買が雑所得に該当する場合は、特別控除50万円が適用されません。

雑所得 = 売却価格 -( 取得価格 + 経費 )

金の売買における税金の計算シミュレーション

ここからは、実際の数字をあてはめて金の売買における税金の計算シミュレーションをしていきます。

条件は、

  • 所得の種類:譲渡所得
  • 金の取得価格(購入費用):100万円
  • 金の売却価格:250万円
  • 手数料:2万円
  • 所有期間:8年

です。

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さらに税金を計算するために

  • 給与所得:500万円
  • 基礎控除:68万円
  • 給与所得控除:144万円
  • 社会保険料控除:75万円
  • 配偶者控除:38万円

とります。

1、金の売買による利益を計算する

まずは、金の売買によって得た利益を計算します。

利益 = 売却価格 -( 取得価格 + 経費 )= 250万円 -( 100万円 + 2万円 )= 148万円

2、譲渡所得を計算する

金の売買による利益から特別控除(譲渡所得控除)を差し引いて譲渡所得を計算します。

譲渡所得 =( 利益 - 特別控除50万円 )× 1/2 =( 148万円 - 特別控除50万円 )× 1/2 = 49万円

3、他の所得と合算する

金の売買による譲渡所得は、総合課税に該当します。

そのため、給与所得、事業所得、不動産所得、一時所得、雑所得などの所得がある場合は、すべてを合算して税金を計算する必要があります。

今回は、給与所得が500万円であることから次のように計算できます。

所得 = 譲渡所得 + 給与所得 = 49万円 + 500万円 = 549万円

4、課税所得を計算する

課税所得とは、所得税や住民税を計算する基礎となる金額です。

先ほどの所得の合計金額から各種控除を差し引くことで計算できます。

課税所得 = 所得 - 基礎控除 - 給与所得控除 - 社会保険料控除 - 配偶者控除 = 549万円 - 68万円 - 144万円 - 75万円 - 38万円 = 224万円

5、所得税を計算する

課税所得に所得税の税率を掛けます。

国税庁が公表している「所得税の速算表」を活用して計算しましょう。

所得税 = 課税所得 × 税率 – 控除額 = 224万円 × 10% – 9万7,500円 – 0円 = 12万6,500円

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所得税に加えて、住民税もかかってきます。

お住いの地域によって若干の違いはありますが、ほとんどのケースで課税所得の10%+5,000円となっています。

上記の例では、22万9,000円かかる計算です。

金の売買の税金に関するよくある質問

ここからは、金の売買の税金に関するよくある質問をまとめています。

Q、金を売却したら必ず税金はかかりますか?

いいえ。必ずかかるわけではありません。

売却価格から取得価格や経費を差し引いた結果、利益が出ていなければ税金はかかりません。

Q、金の売却益は自動的に税金が差し引かれますか?

いいえ。基本的に税金は差し引かれません。

現物の金(インゴット・金貨など)を売却した場合、基本的に源泉徴収の対象外となります。

ただし、金ETFや純金積立などの金融商品であれば、売却時に税金が自動的に差し引かれる可能性があります。

Q、金は長期保有したほうが税制面でお得ですか?

はい。そうです。

金の譲渡所得では、保有期間が5年を超えると長期譲渡所得に該当します。

この場合は、課税対象となる金額が半分となり、税金の負担が大幅に軽減されます。

Q、金は一気に売ると税金は増えますか?

金は複数年に分けて売却したほうが税金の負担は少なくなります。

これは、年間に適用できる譲渡所得の特別控除が50万円であるためです。

例えば、1年だと50万円しか適用できませんが、3年に分ければ150万円の特別控除を利用できて税金の負担も減らすことができます。

ただし、金の価格は日々連動していることからタイミングを逃すと価格が下落する可能性があるため、注意しなければなりません。

Q、金の購入金額が分からない場合は、どうすればいいですか?

金の購入金額が分からない場合は、売った金額の5%を取得価格として計算します。

例えば、金の売却価格が100万円であれば取得価格が5万円となり、売却益が95万円(= 100万円 - 5万円)と計算されます。

税金が非常に高くなってしまう可能性があることから、購入証明書(計算書)は厳重に保管しておきましょう。

Q、金の売却益は他の所得と損益通算できますか?

金の売買が譲渡所得に該当する場合は、原則として他の所得と損益通算できません。

金の売買を事業規模で継続的に行っている場合は、事業所得に該当して損益通算が可能になる可能性はあります。

Q、金で売却益が出た場合は、必ず確定申告が必要ですか?

いいえ。必ず確定申告が必要なわけではありません。

金の売却が譲渡所得に該当する場合は、年間の売却益が50万円を超えると確定申告が必要になります。

逆に言えば、年間の売却益が50万円以下であれば、取引金額が大きかったとしても確定申告の必要はありません。

確定申告の対象者・必要な人とは?分かりやすく徹底解説

なお、確定申告が必要であるにもかかわらず、何もしなかった場合は無申告加算税や延滞税が課される可能性があるので注意が必要です。

税務調査は無申告でも来る?最大40%の重加算税も

まとめ

金の売買で利益が出た場合、その利益は所得として扱われ、税金がかかる可能性があります。

金の取引による所得は、取引の実態に応じて譲渡所得・事業所得・雑所得のいずれかに分類され、それぞれ課税方法や注意点が異なります。

現物の金(インゴットや金貨など)を個人が資産目的で売却する場合は、譲渡所得に該当するのが一般的です。

保有期間が5年を超えると長期譲渡所得となり、課税対象が利益の半分になるため、税制面では長期保有が有利になるケースがあります。

一方、金の売買を継続的に行い、営利目的が強い場合は事業所得、副業やお小遣い稼ぎ程度で行われている場合は雑所得と判断されることもあります。

また、金ETFや純金積立などの金融商品は、現物の金とは異なる税制が適用される点にも注意が必要です。

金の売却益は自動的に税金が差し引かれないことが多く、利益が出た場合は確定申告が必要になるケースがあります。

購入価格や経費を正確に把握し、課税所得の計算方法を理解しておくことが税金トラブルを防ぐポイントです。

※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。

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