2019年10月1日以降、消費税等(消費税及び地方消費税)が8%から10%に引き上げられる予定となっています。
今回、注目したいのは、1989年の消費税導入以来、初めて導入される軽減税率です。
軽減税率とは、食料品など「生活に最低限必要なもの」については、消費税を軽減する制度を言います。
軽減税率(8%)と標準税率(10%)の適用について表にまとめると次のようになります。
分類 | 軽減税率の適用 | 消費税率 |
---|---|---|
飲食料品 | あり | 8% |
医薬品・医薬部外品等 | なし | 10% |
酒類 | なし | 10% |
これまで一律だった消費税率が「商品の種類」によって変わってくることが分かります。
ここで気になるのが、最近、一般家庭でも設置されることの多い”ウォーターサーバー”の扱いについてです。
この記事では、軽減税率の中でも少しややこしい「ウォーターサーバー」について解説していきます。
ウォーターサーバーには一部軽減税率が適用される
先に結論を言っておくと、ウォーターサーバーには「消費税率8%の部分」と「消費税率10%の部分」に分かれます。
具体的には、次のような扱いになります。
内容 | 軽減税率 | 消費税率 |
---|---|---|
水代 | 対象 | 8% |
ウォーターサーバーのレンタル代 | 対象外 | 10% |
このことは、国税庁のホームページ「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別編)」でも記載されています。
Q. 当社は、事業所及び一般家庭に対し、ウォーターサーバーをレンタルしてレンタル料を受け取るとともに、ウォーターサーバーで使用する水を販売して販売代金を受け取っています。このウォーターサーバーのレンタル及びウォーターサーバーで使用する水の販売は、軽減税率の適用対象となりますか。
A. 軽減税率が適用されるのは、「飲食料品の譲渡」であるため、「資産の貸付け」であるウォ-ターサーバーのレンタルについては、軽減税率の適用対象となりません(改正法附則 34①一)。
また、「食品」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいいますので、人の飲用又は食用に供されるウォーターサーバーで使用する水は、「食品」に該当し、その販売は軽減税率の適用対象となります(軽減通達2)。
出典:国税庁
送料の扱い
ウォーターサーバーを契約すると定期的に送られてくる”水の送料”については「別途送料が発生するかどうか」で軽減税率の扱いが異なってきます。
具体的には、次のような扱いになります。
内容 | 軽減税率 | 消費税率 |
---|---|---|
水の料金に送料を含む | 対象 | 8% |
水の料金とは別に送料が発生する | 対象外 | 10% |
- 水(ボトル)代 + 送料・配送料
- ウォーターサーバーのレンタル代
- サポート料・メンテナンス料
- 電気代
の4つを合計した金額となります。
なお、サポート料・メンテナンス料・電気代については、軽減税率の対象外のため、増税後は消費税率は8% → 10%に上がります。
最後に
消費税の軽減税率は、初めて導入されることから混乱が起こることが予想されています。
ウォーターサーバーについては、
- 水代 → 消費税率8%(軽減税率の対象)
- ウォーターサーバーのレンタル代 → 消費税率10%(軽減税率の対象外)
と扱いが異なります。
また、ウォーターサーバーは電気代が1ヶ月あたり500~1,000円ほど発生しますが、その電気代についても消費税率10%が適用されることになります。
総合すると一般家庭の負担が重くなるのは確実です。
特に子育て世帯の方は、赤ちゃんのためにウォーターサーバーを導入しているケースも多いですが、おむつなどの日用品の増税と合わせて厳しい出費となります。
ウォーターサーバーの取り扱い店については、消費税の導入をスムーズに行うための経過措置と合わせて社内ルールの設定と従業員に周知徹底させておきたいところです。
その他、ややこしい軽減税率の対象商品・品目は、次の記事で紹介しています。
また、消費税増税および軽減税率と合わせて導入された最大5%の「キャッシュレス・ポイント還元事業」も合わせてご覧ください。
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。
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