税務調査で嘘をついてしまったら、どうなるのだろう?
税務調査官は、年間何十件も税務調査をするプロであり、嘘やごまかしは簡単に見破ってきます。
特に
- 売上の期ずれ
- 売上の漏れ
- 私的な支払いが経費に含まれていないか
といったことは重点的に調査されます。
この記事では、税務調査で嘘をついてバレてしまったらどうなってしまうのか?解説していきます。
税務調査で嘘をつくと罰則がある
税務調査で嘘をついてバレてしまった場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
このことは、国税に関する一般法である国税通則法127条で明記されています。
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書に偽りの記載をして税務署長に提出した者
二 第七十四条の二、第七十四条の三(第二項を除く。)、第七十四条の四(第三項を除く。)、第七十四条の五(第一号ニ、第二号ニ、第三号ニ及び第四号ニを除く。)若しくは第七十四条の六(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三 第七十四条の二から第七十四条の六までの規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出した者
国税通則法 第127条
- 税務調査に協力しない
- 偽りの答弁をする
- 正当な理由もなく拒否をする
といった場合に罰則が科される可能性があります。
たとえ、任意調査であっても罰則の対象となるので注意しなければなりません。
重加算税に該当する可能性がある
税務調査官に嘘をつくリスクは、これだけではありません。
嘘をついたことで、事実の隠蔽や仮装をしたと判断されると、最大40%の重加算税が科せられる可能性があります。
加算税の種類 | 内容 | 加算税率 |
---|---|---|
過少申告加算税 | 本来の税額より少ない金額で申告した場合 (ミスや見解の違いなど) |
0%(税務調査前に修正申告) 10%(50万円以下の部分) 15%(50万円を超える部分) |
無申告加算税 | 申告期限までに申告しなかった場合 | 5%(税務調査前に修正申告) 15%(50万円以下の部分) 20%(50万円を超える部分) |
重加算税 | 本来の税額より少ない金額で申告した場合 (意図的な事実の隠蔽や仮装など) |
35% 40%(無申告) |
延滞税 | 税金を法定納付期限までに納めていなかった場合 (修正申告等により遅れた場合にも発生します) |
最新の税率はこちら |
過少申告加算税と重加算税の税金比較
税務署から”重加算税”と判断されることで、どのくらい税金の負担が増えてしまうのか?
具体的な数値を当てはめて、
- 過少申告加算税(税務調査官の指摘に正直に答えた場合)
- 重加算税(税務調査官の指摘に対して嘘をつき、事実の隠蔽や仮装をしたと判断された場合)
の2パターンでシミュレーションしてみましょう。
条件は、過去の申告書を見直した結果、次のような過少申告(本来の税額より少ない金額で申告した場合)が見つかったケースです。
- 申告納税額:300万円
- 本来納税すべき税額:500万円
過少申告加算税
このとき、加算税率は
- 10%(50万円以下の部分)
- 15%(50万円を超える部分)
となります。
本税
500万円 − 300万円 = 200万円
罰金(過少申告加算税)
50万円 × 10% + 150万円 × 15% = 27万5,000円
合計
200万円 + 27万5,000円 = 227万5,000円 + 延滞税
重加算税
このとき、加算税率は
- 35%
となります。
本税
500万円 − 300万円 = 200万円
罰金(過少申告加算税)
200万円 × 35% = 70万円
合計
200万円 + 70万円 = 270万円 + 延滞税
過少申告加算税(税務調査官の指摘に正直に答えた場合)と比較すると、罰金は27万5,000円 → 70万円と”42万5,000円”も増えてしまいました。
最後に
税務調査で嘘をつくことで、大きなしっぺ返しを食らうリスクがあります。
だからこそ、税務調査で指摘を受けたときは、嘘をついてはいけません。
記憶が曖昧であれば、「その件については調べてから回答します。」と伝えるようにしましょう。
もし、すでに税務調査で嘘をついてしまったのであれば、税理士には正直に話しておき、嘘が発覚してしまったときのために対策を練るようにすることをおすすめします。
税理士は、あなたの味方です。
「税務調査の連絡が入った・・・」
「正しく申告しているか不安・・・」
「事前対策はどうすればいいだろう・・・」
「追徴課税を受けそうだけどどうすれば・・・」
など、税務調査など税務全般に関して不安のある方は、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。