税務調査

税務調査前に自主的に「修正申告」を提出するメリットとは?

「税務調査にお伺いしてもよろしいでしょうか?」

税務署から税務調査の事前通知を受けたときは、必要書類の準備や見直し作業を行うことになります。

その際、過去の申告内容に明らかな間違いが見つかった場合、税務調査前(実地調査前)に修正申告をすべきでしょうか?

明らかな間違いなら自主的に「修正申告」すべき

先に結論を言っておくと、明らかな間違いなら自主的に「修正申告(期限後申告)」すべきです。

なぜなら、

罰金(過少申告加算税)が軽減される可能性があるから

です。

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特に

  • 売上の期ずれ
  • 売上の漏れ
  • 私的な支払いが経費に含まれていないか
  • 在庫の計上漏れ
  • 人件費の水増し

などは、税務調査時に重点的にチェックされる項目です。

ここで明らかな間違いが見つかったなら、税理士と相談しながら事前に「修正申告」を行うことを検討すると良いでしょう。

罰金(過少申告加算税)が軽減

過少申告加算税とは、本来の税額より少ない金額で申告した場合に科される”罰金”です。

この罰金は、修正申告を提出する時期によって変わり、過少申告加算税では次のようになります。

過少申告加算税の罰金について
修正申告等の提出時期 加算税率
(1)税務調査の事前通知前に自主的に「修正申告」を提出 0%
(2)税務調査の事前通知後に自主的に「修正申告」を提出 5%(50万円以下の部分)
10%(50万円を超える部分)
(3)税務調査後に「修正申告」「更生」があった場合 10%(50万円以下の部分)
15%(50万円を超える部分)

この内、税務調査の「事前通知後 〜 税務調査前(実地調査前)」に修正申告を提出したときが(2)となります。

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税務調査前(実地調査前)に「修正申告」を提出することで

  • 50万円以下の部分:10% → 5%
  • 50万円を超える部分:15% → 10%

加算税率が5%軽減されることが分かります。

税務調査前に修正申告を提出すると罰金はいくら軽減される?

続いて、修正申告を提出する時期によって、罰金(過少申告加算税)を含めた”納税額”はどのくらい変わってくるのか?

具体的な数値を当てはめて、先ほどの(1)〜(3)でシミュレーションしてみます。

条件は、過去の申告書を見直した結果、次のような過少申告(本来の税額より少ない金額で申告した場合)が見つかったケースです。

  • 申告納税額:300万円
  • 本来納税すべき税額:500万円
芦屋会計
本来は500万円の税金を納める必要があったのに、過少申告により300万円しか納めていなかったケースとなります。

(1)税務調査の事前通知前に自主的に「修正申告」を提出

このとき、加算税率は0%になります。

本税

500万円 − 300万円 = 200万円

罰金(過少申告加算税)

50万円 × 0% + 150万円 × 0% = 0円

合計

200万円 + 0万円 = 200万円 + 延滞税

芦屋会計
自主的に修正申告を提出したため、罰金(過少申告加算税)は発生しません。

過少申告により”減らした分の税金”だけ納税すれば良いとされています。

(2)税務調査の事前通知後に自主的に「修正申告」を提出

このとき、加算税率は

  • 5%(50万円以下の部分)
  • 10%(50万円を超える部分)

となります。

本税

500万円 − 300万円 = 200万円

罰金(過少申告加算税)

50万円 × 5% + 150万円 × 10% = 17万5,000円

合計

200万円 + 17万5,000円 = 217万5,000円 + 延滞税

芦屋会計
税務調査の”事前通知”をきっかけとして、修正申告を提出したとみなされるため、罰金17万5,000円を余分に納めなければなりません。

(3)税務調査後に「修正申告」「更生」があった場合

このとき、加算税率は

  • 10%(50万円以下の部分)
  • 15%(50万円を超える部分)

となります。

本税

500万円 − 300万円 = 200万円

罰金(過少申告加算税)

50万円 × 10% + 150万円 × 15% = 27万5,000円

合計

200万円 + 27万5,000円 = 227万5,000円 + 延滞税

芦屋会計
税務調査官に指摘されて「修正申告」「更生」したため、(2)のケースと比べて、罰金は17万5,000円 → 27万5,000円と”10万円”も増えてしまいました。

過去の申告内容を間違った理由を用意しておこう

先ほどお伝えしたとおり、税務調査の「事前通知後 〜 税務調査前(実地調査前)」に修正申告をすることで、余計な罰金(過少申告加算税)を減らすことが可能です。

ただし、税務調査時に「なぜ、過去の申告内容が間違っていたか」は問われることになります。

例えば、税務調査の事前通知があったので帳簿を見直していたら、計算間違えや漏れが見つかったなど、顧問税理士と相談しながら矛盾なく説明できるようにしておきましょう。

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大切なことは、税務調査官に「税金を減らしたかったから、意図的に売上をごまかした」と思われないようにすることです。

最悪の場合、意図的な事実の隠蔽や仮装をしたと判断され、過去7年間にさかのぼって税務調査が実施されたり、最大40%の重加算税が科せられたりする可能性があります。

税務調査で売上計上漏れが発覚!最大40%の重加算税も

最後に

税務調査では、事前通知があった後の迅速な対応が重要になってきます。

もし、過去の申告内容を見直して、明らかな間違いを発見したのであれば、税務調査(実地調査)の日までにできるだけ早いタイミングで「修正申告」を提出しましょう。

このちょっとしたことで数十万円単位の追徴課税を減らせるかもしれません。

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※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。

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