税務調査

税務調査は無申告でも来る?最大40%の重加算税も

ある日、突然やってくる税務調査。

これは、確定申告書を提出していない”無申告”であっても、例外ではありません。

この記事では、無申告が発覚するきっかけや時効・罰金などについて解説しています。

今、多額の売上を上げているけど、税務署に申告をしていない方は、ぜひご覧ください。

税務調査は無申告でも来る

冒頭でお伝えしたとおり、税務調査は無申告であろうとやってきます。

税務署に売上が発覚する理由としては、

  1. 支払調書
  2. 資料せん
  3. 反面調査
  4. 知人からのタレコミ

などがあります。

1、支払調書

支払調書は、一定の要件を満たした場合、毎年税務署への提出が義務付けられている資料です。

ここには、

  • 支払い先
  • 支払い内容
  • 支払い金額

などが記載されており、税務署はこの書類を確認することで「誰に対して、どういった内容で、いくら支払ったのか」が分かります。

芦屋会計
例えば、あなたが取引先AからWebデザインを30万円で請け負っていたときを考えてみましょう。

このとき、取引先Aは「あなたにWebデザイン報酬として30万円支払った」という内容の支払調書を税務署に提出することになります。

つまり、税務署は「あなたが取引先Aから30万円の売上を上げたこと」を把握します。

そして、もし、あなたが確定申告書を提出していなければ、税務署は「おや?おかしいぞ」と思うわけです。

ここで注意していただきたいのが、支払調書を報酬の支払先に送る義務はないことです。

「支払調書が届いてないから、税務署には知られていない。確定申告しなくても良いだろう。」

と考えていると、そのうち税務署に目をつけられる可能性があります。

2、資料せん

資料線とは、税務署が任意で提出を呼びかけている情報収集のための資料です。

ここには、一定金額以上の

  • 売上
  • 仕入れ
  • 外注費
  • 接待交際費
  • 支払いリベート

などがあった場合の取引先について記載していきます。

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ここに記載される「仕入れ」「外注費」を見れば、取引先の「売上」が分かることになります。

そして、先ほど同様、売上があるはずなのに確定申告されていなければ、税務署は「おや?おかしいぞ」と思うわけです。

3、反面調査

反面調査とは、税務調査対象者の取引先に対して行う税務調査の手法の1つです。

税務署が「疑わしい取引」を発見したとき、それが正しいかどうか「裏をとる」ために取引先に調査をします。

なお、調査方法は、

  • 文書
  • 電話
  • 訪問

のいずれかとなります。

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例えば、取引先の帳簿に「疑わしい取引」が見つかり、税務署があなたに反面調査を試みたとします。

このとき、もし、あなたが確定申告をしていなければ、税務署は「おや?おかしいぞ」と思うわけです。

【税務調査】反面調査とは?内容次第では拒否できる

4、知人からのタレコミ

知人からのタレコミで無申告が発覚するケースも少なからずあります。

急に高級車を乗り回したり、生活が派手になると、恨み、妬み、やっかみなどを持って、税務署に連絡してくるパターンがあるようです。

税務調査の無申告の時効は何年?

無申告で税務調査があった場合、基本5年間さかのぼって調査されることになります。

さらに、

  • 他人や架空の名義を使用している
  • 帳簿の記録に著しい不備がある

といった悪質な行為が発覚した場合は、7年間に延長されるケースもあります。

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税務調査が入れば、これまで無申告で支払ってなかった5年間(最大7年間)の税金+罰金が請求されることになります。

この他、所得金額を修正することで

  • 消費税
  • 事業税
  • 住民税
  • 国民健康保険
  • 所得制限のある助成金

などにも影響が出てくるので、トータルでものすごい税額になる可能性があります。

また、税務署の怖いところは、無申告を発見してもすぐには税務調査を行わないところです。

なぜなら、無申告の税務調査では、基本5年間をさかのぼれるため、すぐに連絡するより、後から数年分をまとめて徴収したほうが効率的だからです。

だから、「ここ2~3年無申告だけど、税務署から連絡が来ないから大丈夫だろう」と言って、安心してはいけません。

すでに税務署に無申告がバレていて、その時が来るのを待ち構えているかもしれません。

なお、税務調査の確率については、次の記事でまとめているので参考にしてください。

税務調査が入る確率は?法人と個人事業主、業種を比較

税務調査で無申告による罰金は最大40%

税務調査では、過去に支払っていなかった税金だけでなく、罰金も加算して請求されます。

そして、次の表を見れば分かるとおり、無申告加算税(無申告の罰金)は、過少申告加算税(ミスや見解の違いなどの罰金)と比べると、高い加算税率が課せられることが分かります。

加算税の種類 内容 加算税率
過少申告加算税 本来の税額より少ない金額で申告した場合
(ミスや見解の違いなど)
0%(税務調査前に修正申告)
10~15%
無申告加算税 申告期限までに申告しなかった場合 5%(税務調査前に修正申告)
15%(50万円以下の部分)
20%(50万円を超える部分)
重加算税 本来の税額より少ない金額で申告した場合
(意図的な事実の隠蔽や仮装など)
35%
40%(無申告)
延滞税 税金を法定納付期限までに納めていなかった場合
(修正申告等により遅れた場合にも発生します)
最新の税率はこちら
芦屋会計
税務署は、無申告者を「納税する意思がない」とみなして、厳しく対応してきます。

また、税務署から悪質な無申告者だと判断されれば、最も厳しい重加算税40%がペナルティとして科せられる可能性もあります。

税務調査で売上計上漏れが発覚!最大40%の重加算税も

税務調査で無申告が見つかったときの税金

ある事業者に税務調査が入って、無申告が見つかったとします。

  • 申告納税額:0万円
  • 本来納税すべき税額:500万円
芦屋会計
本来は500万円の税金を納める必要があったのに、申告していなかったケースです。

さて、こんなときはどうなるのでしょうか?見ていきましょう。

本税

まず、無申告により”支払っていなかった分の税金”を納めなければなりません。

500万円

罰金

さらに無申告の罰金として”無申告加算税”を納める必要があります。

本来納税すべき税額に対して、無申告加算税15~20%が課せられることになります。

50万円 × 15% + 450万円 × 20% = 97万5,000円

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無申告で税金逃れをしたことにより罰金97万5,000円を余分に納めなければなりません。

合計

最終的に納めるべき税金は、

本税 + 罰金 + 延滞税 = 500万円 + 97万5,000円 + 延滞税 = 597万5,000円 + 延滞税

芦屋会計
延滞税とは、税金を法定納付期限までに納めていなかった場合にかかる税です。

もし、この597万5,000円を「払えない!」と突っぱねていると、延滞税がどんどん加算されることになります。

具体的な延滞税の計算方法については『税務調査の延滞税とは?計算方法と具体例・シミュレーション』をご覧ください。

無申告はだめ!今すぐにでも申告しよう

確定申告は、次の要件に当てはまった場合に対象となります。

確定申告の要件
給与所得者 ・給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
・1ヵ所から給与の支払いを受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
・2ヵ所以上から給与の支払いを受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
・同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
・災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
・源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
・退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
公的年金等に係る雑所得がある方 ・公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと、残額がある
退職所得がある方 外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある
その他 各種の所得(収入から経費を差し引いた額)の合計額が48万円を超える
芦屋会計
個人事業主・フリーランスの場合は、所得が年間48万円以下であれば無申告でも問題ないということですね。

もし、確定申告の要件に当てはまっているにも関わらず、無申告であれば、今すぐにでも過去にさかのぼって申告することをおすすめします。

なぜなら、無申告で税務調査に入られると、5年にさかのぼって調査されるだけでなく、重たい罰金を課せられるからです。

「いつか税務調査が来てしまうのではないだろうか。」とビクビク怯えて過ごすことにもなり、精神衛生上も良くありません。

もちろん、本来の提出期限を過ぎての申告となるため、多少の罰金はありますが、自主的に申告したということで下記のように大幅に軽減されます。

  • 罰金(無申告加算税) 15~20% → 5%
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先ほどの例(無申告が見つかったときの税金)に当てはめていれば、罰金は

  • 500万円 × 5% = 25万円

で済むことになり、無申告で税務署にバレた場合の”97万5,000円”と比べて、大幅に軽減されます。

また、あらかじめ申告することで、税務調査が来てから慌てて準備する必要がなくなりますし、節税に詳しい税理士を探す時間もたっぷりと設けることができます。

何より「自ら申告した」ということで、税務署からの印象や対応も大きく変わってきます。

確定申告の対象者・必要な人とは?分かりやすく徹底解説

税務調査の対応は税理士に依頼するのが確実

無申告で税務調査の連絡を受けた場合は、

  1. 資料の用意
  2. 帳簿の作成
  3. 確定申告書の作成

という手順を踏むことになります。

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資料は、売上や経費が分かるものが必要となります。

  • 売上 → 通帳、請求書、領収書、支払調書
  • 経費 → 請求書、領収書(レシート)、クレジットカードの明細

などです。

資料がそろったら、それをもとに帳簿の作成をしていきましょう。

最近は、便利な会計ソフトが登場しているので、活用することをおすすめします。

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一応、税務署に行けば、無料相談や帳簿・申告書の作成をしてくれますが、おすすめはできません。

なぜなら、「もっとこうすれば税金が安くなりますよ」という節税のアドバイスを聞くことができないからです。

その結果、経費にできる項目が減ったりして、税金が高くなってしまうこともあります。

特に売上や経費が大きい場合は、申告書一つで納税額が大きく異なってきます。

多少の手数料は必要となりますが、節税のアドバイスもしてくれる税理士に頼んだ方が結果として安くなる可能性は高いでしょう。

推計で売上や経費が決定されることも

また、これまでに帳簿の作成をしたことがない方にとって、自分で全てを行うのはかなりハードルが高いです。

もし、税務署に「帳簿書類が信用できない」と判断されれば、推計課税と呼ばれる方法が用いられる可能性もあります。

税務調査の推計課税とは?計算方法や要件を徹底まとめ

推計課税では、税務署の推計で納税額が決定してしまうため、本来支払う必要のない数十万円、数百万円の税金が課される可能性があります。

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「資料を全部捨てたから、税務署が来ても正しい売上や経費が分からない。だから、課税されないだろう。」

そんな認識は誤りです。

税務署は、同業者の売上や経費の情報など、さまざまな方法で所得を推定して、課税しようとしてきます。

だからこそ、正しい帳簿の作成を手伝ってもらったり、税務調査の対応をしてもらう意味でも、一度税理士に相談することをおすすめします。

税務署では決して教えてくれない節税についても教えてもらうことができるでしょう。

最後に

今回、ご説明したとおり、無申告はデメリットが多いです。

税務署は、税金を5年間(悪質な場合は7年間)にさかのぼって徴収することができ、所得があればあるほど、その負担も大きくなります。

弊社では、税務調査によって過大な課税がなされないように法人・個人の皆さまを全力でバックアップいたします。

  • 無申告で税務調査の連絡が入ったけど、どうすればいいだろう
  • 今は、無申告だけど、きっちりと申告をしたい
  • 正しい帳簿作成や確定申告書の作成を手伝ってほしい
  • 節税対策について相談したい

など、税務に関して不安のある方は、お気軽にご相談ください。

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※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。

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