今回、注目したいのは、1989年の消費税導入以来、初めて導入される軽減税率です。
軽減税率とは、食料品など「生活に最低限必要なもの」については、消費税を軽減する制度を言います。
軽減税率(8%)と標準税率(10%)の適用について表にまとめると次のようになります。
これまで一律だった消費税率が「商品の種類」によって変わってくることが分かります。
ここで気になってくるのが、遊園地の売店で飲食料品を購入してから”食べ歩き”をしたとき軽減税率の対象になるのかどうか?です。
この記事では、軽減税率の中でもややこしい「遊園地内での食べ歩き」について解説していきます。
遊園地の食べ歩きにも軽減税率が適用される
先に結論を言っておくと、遊園地の”食べ歩き”には軽減税率が適用されます。
ただし、
- 売店が管理する飲食設備(テーブル、ベンチ)で飲食をしたとき
には、標準税率10%が適用されます。
このことは、国税庁のホームページ「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別編)」でも記載されています。
Q. 当社は、遊園地を運営しています。当社が遊園地内で運営する売店において飲食料品を販売していますが、来園者は園内で食べ歩くほか、園内に点在するベンチで飲食することもあります。この場合、遊園地という施設全体が「飲食設備」に該当し、食べ歩きも含めて軽減税率の適用対象とならない「食事の提供」となるのでしょうか。
顧客が飲食料品を園内において食べ歩く場合や、売店の管理の及ばない園内に点在するベンチで飲食する場合は、売店にとっては、単に飲食料品を販売しているにすぎないことから、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。
出典:国税庁
売店が管理する飲食設備
遊園地の売店が管理する飲食設備とは、
- 売店のそばに設置したテーブルや椅子など、売店の管理が及ぶもの
を言います。
このような飲食設備で食事をした場合は、軽減税率の適用対象外である「外食」に該当するため、標準税率10%となります。
そのため、売店で飲食料品を購入してから別の場所のベンチで食事をする場合は、軽減税率8%が適用されます。
顧客への意思確認
売店は顧客に
- 店内飲食
- 持ち帰り
の意思表示を確認するなどの方法で軽減税率適用の可否を判断しなければなりません。
なお、遊園地によっては、この辺りのルールが統一されていることもあります。
例えば、東京ディズニーランドでは、飲食設備のあるレストランで購入した場合は、店内飲食でも食べ歩きでも標準税率10%を適用するとされています。
最後に
消費税の軽減税率は、初めて導入されることから混乱が起こることが予想されています。
遊園地の売店で購入した飲食料品を”食べ歩き”した場合は、軽減税率8%が適用されます。
遊園地で売店を運営する事業者は、消費税の導入をスムーズに行うための経過措置と合わせて社内ルールの設定と従業員に周知徹底させておきたいところです。
その他、ややこしい軽減税率の対象商品・品目は、次の記事で紹介しています。
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。
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