事業が軌道に乗って法人を設立した。
そうすると法人税をはじめとして、さまざまな税金の支払い義務が生じます。
法人にかかる主な税金だけでも11種類にも上り、忘れずに納税しなければなりません。
もし、納付期限が過ぎてしまえば、ペナルティとして課される延滞税により無駄にお金を払うことになります。
延滞税の税率や計算方法は、次の記事でも詳しくまとめています。
この記事では、法人にかかる11種類の税金の納付期限を一覧でまとめています。
目次
法人にかかる11種類の税金の納付期限一覧表
さっそく、法人にかかる11種類の税金の納付期限を一覧で見ていきましょう。
税金の種類 | 納付期限 | 具体例 |
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法人税 | 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内
※法人税、消費税の場合は、前事業年度に一定以上の納税があれば中間申告および納付が必要です。 |
会社が3月決算(決算日が3月31日)の場合は、5月31日が納付期限となります。
※5月31日が土日祝の場合は、その翌日が納付期限です。 |
法人住民税 | ||
法人事業税 | ||
特別法人事業税 | ||
消費税 | ||
源泉所得税 | 給与を支払った月の翌月10日まで
※給与の支給人員が常時10人未満の場合は、半年分まとめて納付可能 |
給与の支給日が3月25日の場合は、4月10日が納付期限になります。
※半年分まとめて納付する場合は、1月から6月までの支給分は7月10日、7月から12月までの支給分は翌年1月20日となります。 |
住民税特別徴収 | ||
固定資産税 | 1年分を4期に分割して納付
※自治体によって納付期限は異なる |
大阪市では、4月末日・7月末日・12月末日・2月末日が納付期限になります。
※第1期目に一括納付も可能です。 |
自動車税(軽自動車税) | 毎年5月末日
※自治体によって納付期限は多少異なる |
大阪市では、5月31日が納付期限になります。 |
印紙税 | その都度納付 | 収入印紙の購入や登記手続きを行ったタイミングで納付となります。 |
登録免許税 |
法人税
法人税とは、法人が事業活動によって収益(=所得)を得たときに課税される国税です。
国が提供する公共サービスやインフラ、社会保障制度などの財源確保を目的に課税されています。
納付期限 | 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内 |
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中間申告の納付期限 | 事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内 ※前事業年度の法人税額が20万円を超える普通法人 |
※原則、設立初年度は、中間申告および納付はありません。
さらに法人税額が20万円を超えた場合は、9月1日から11月30日が中間申告および納付の期限となります。
法人住民税
法人住民税とは、赤字であっても課税される地方税です。
地方自治体の行政サービス全般に必要な財源確保を主な目的に課税されています。
納付期限 | 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内 |
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納税義務者は、
- 都道府県
- 市町村
に事務所または事業所を有する法人です。
法人住民税は、法人割税と均等割の2つに分類されます。
このうち、均等割は「資本金」と「従業員の数」に応じて赤字でも支払わなければなりません。
法人事業税
法人事業税とは、法人が事業活動によって収益(=所得)を得たときに課税される地方税です。
法人が事業を行うにあたって利用する地方自治体の行政サービスの必要経費を分担する考えに基づいて課税されています。
納付期限 | 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内 |
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納税義務者は、
- 普通法人
- 協同組合
です。
公益法人、人格のない社団などは収益事業の所得のみ課税され、公共法人は非課税となります。
特別法人事業税
法人事業税とは、法人が事業活動によって収益(=所得)を得たときに課税される国税です。
地方自治体の財政格差を是正して、全国で公平な行政サービスを提供することを目的に課税されています。
納付期限 | 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内 |
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消費税
消費税とは、日本国内でモノやサービスを消費したときに発生する税金です。
納付期限 | 事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内 |
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中間申告の納付期限 | 事業年度開始の日以後6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内 ※前事業年度の消費税の年税額が48万円を超える場合 |
納税義務者は、
- 2年前の”課税売上高が1,000万円超”
- 1年前の上半期(6ヶ月間)の”課税売上高が1,000万円超”かつ”給与等の支払総額が1,000万円超”
- インボイス制度の適用などを目的に課税事業者を選択
のいずれかを満たしたときです。
さらに消費税の年税額が48万円を超えた場合は、9月1日から11月30日が中間申告および納付の期限となります。
※消費税の年税額が400万円を超えた場合は、中間申告の回数が年3回または年11回になり、納付期限も変わってきます。
源泉所得税
源泉所得税とは、法人等が給与や報酬などの支払いをする際に本人に代わって国に納付する所得税(復興特別所得税含む)です。
給与等から所得税(復興特別所得税含む)を天引きすることで未納リスクが減り、従業員等にとっても納付の手間が省けるメリットがあります。
納付期限 | 給与を支払った月の翌月10日まで |
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対象となる所得は、
- 給与、賞与
- 退職金、一時金
- フリーランスや専門家(弁護士、公認会計士、司法書士など)に支払う報酬
などです。
給与の支給人員が常時10人未満の場合は、半年分まとめて納付することもできます。
その場合の納付期限は、1月から6月までの支給分は7月10日、7月から12月までの支給分は翌年1月20日となります。
法人は、源泉所得税と関連して年末調整の手続きも必要となります。
住民税特別徴収
源泉所得税とは、法人等が給与や報酬などの支払いをする際に本人に代わって自治体に納付する住民税です。
先ほどの源泉所得税と同様、従業員にとっては納付の手間がかからないメリットがあります。
納付期限 | 給与を支払った月の翌月10日まで |
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原則、法人による住民税特別徴収は、地方税法第321条の4に定められた義務となります。
ただし、
- 退職された方
- 5月31日までに退職予定の方
- 毎月の給与支払額が少額で徴収できない方
- 給与の支払が毎月でない方
- 住民税特別徴収の対象者が2名以下である場合
などに該当する従業員は、住民税特別徴収の対象外とすることも可能です。
給与の支給人員が常時10人未満の場合は、半年分まとめて納付することもできます。
その場合の納付期限は、1月から6月までの支給分は7月10日、7月から12月までの支給分は翌年1月20日となります。
固定資産税
固定資産税とは、土地、家屋、償却資産の所有者に課される地方税です。
税収の使い道が定められていない普通税であり、自治体の判断で公共施設の整備や介護・福祉などさまざまな行政サービスに使われています。
納付期限 | 1年分を4期に分割して納付 ※自治体によって異なる |
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納税義務者は、毎月1月1日時点で
- 土地(宅地、田、畑、その他の土地)
- 家屋(住家、店舗、工場、倉庫、その他の建物)
- 償却資産(事業のために用いる構築物、機械、工具、器具、備品等)
の所有者です。
自動車税(軽自動車税)
自動車税(軽自動車税)とは、自動車の所有者に課される地方税です。
道路のインフラ整備や維持管理をはじめ、さまざまな行政サービスに使われています。
納付期限 | 毎年5月末日 ※自治体によって異なる |
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この他にも
- 車検のタイミングで自動車重量税
- 自動車の購入時に環境性能割、消費税
がかかってきます。
印紙税
印紙税とは、印紙税法で定められた契約書や領収書、約束手形などに課される国税です。
納付期限 | その都度納付 |
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納税義務者は、
- 課税文書の作成者
です。
登録免許税
登録免許税とは、会社、不動産、商標、特許などの登記や登録に課される国税です。
納付期限 | その都度納付 |
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納税義務者は、
- 登記や登録を受ける者
です。
- 登録免許税納付用台紙に収入印紙を貼り付ける
- 法務局が指定する口座に必要金額を振り込んでから設立登記申請書に領収書を貼り付ける
などの納付方法があります。
只今、会社設立の無料サポートを実施しているのでお気軽にご相談ください。
最後に
今回は、法人にかかる11種類の税金の納付期限を解説しました。
税金の支払いが遅れた場合は、延滞税が発生や財産の差し押さえも行われることから優先したいところ。
そのためには、1年間の納付スケジュールを把握して税金の支払いに備えることが大切になります。
弊社では、各種税務手続きからキャッシュ・フローの改善まで税金を中心としたお金に関する全般的なサポートをしています。
まずは、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。