皆さん、東京や大阪などの大都市で「Uber Eats」と書かれたリュックを背負う自転車を見かけたことはないでしょうか?
ウーバーイーツ(Uber Eats)とは、スマホアプリでお気に入りのレストランの料理を注文して、自宅にデリバリーしてくれるサービスです。
日本では、2016年6月のサービス提供から右肩上がりで成長してきましたが、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大によるテイクアウト需要の高まりにより一気に利用者が増えました。
さて、そんなウーバーイーツですが、近年はサラリーマンの副業としても注目を集めています。
以前、サラリーマンの副業・兼業は、長時間労働により本業に支障が出たり、情報漏えいや競業になる懸念から原則禁止とされていました。
しかし、ここ数年、政府の働き方改革の影響などにより副業解禁に舵を切る企業が徐々に増えてきています。
副業には、Webライティング・データ入力、コールセンター、イベントスタッフなど、様々なものがありますが、ウーバーイーツは自分の好きな時間に働けることから「あり」な選択肢となっています。
通常の副業では、あらかじめシフト調整をして決められた時間に仕事をしたり、納期に間に合うように無理をする必要も出てきます。
一方、ウーバーイーツは、本業が早く片付いた帰りとき、予定のない休日など、スキマ時間を活用して1時間だけ働くこともでき、その気になれば青天井で収入を増やすことも可能です。
経験を積んで効率的に稼げる時間帯やルートを見つけることで月収100万円以上を稼いだ方もいるようです。
この記事では、サラリーマンの副業として注目を集めているウーバーイーツ配達員の税金周りについて解説していきます。
目次
ウーバーイーツ配達員は個人事業主である
まず、知っておくべきことは、ウーバーイーツ配達員は、個人事業主(自営業者)として扱われる点です。
労働者(正社員、契約社員、派遣労働者、アルバイト・パートなど)に適用される労働法に基づく雇用契約でなく、ウーバーイーツ社と業務委託契約を交わして仕事を請け負うことになります。
次は、労働者と個人事業主の比較表です。
労働者 | 個人事業主 | |
---|---|---|
契約 | 雇用契約 | 業務委託契約 |
労働基準法 | 対象 | 対象外 |
賃金 | 給与 (給与所得) |
報酬 (事業所得または雑所得) |
有給休暇 | あり | なし |
残業代 | あり | なし |
最低賃金 | 適用あり | 適用なし |
失業給付 | あり | なし |
労災保険 | あり | 原則なし |
税金の計算 | 雇用先が「源泉徴収」および「年末調整」で対応 | 自分で「確定申告」で対応 |
上記の比較表を見れば分かる通り、個人事業主は、労働基準法の対象外となることから労働者としての権利が受けられません。
もちろん、個人事業主には、自己裁量で勤務時間などを決めらたり、成果に応じて収入が増えるメリットもあるため、どちらの働き方が良いかは一長一短です。
税金の計算
今回、ウーバーイーツ配達員の税金周りを理解する上で知っておくべきことは、比較表の最後にある税金の計算の項目です。
労働者は、毎月の給与から源泉徴収により”概算”の所得税等の税金が天引きされ、年末調整により差額分が精算される仕組みとなっています。
そのため、原則として労働者は、次の1~6に当てはまらない限りは、原則確定申告は必要ありません。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
- 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
- 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
- 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
- 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
ウーバーイーツで確定申告が必要になるケース
ウーバーイーツで収入を得たときに所得税の確定申告が必要となるケースは、次の2パターンです。
- ウーバーイーツの副業で年間20万円超の所得を得た
- ウーバーイーツの専業で年間48万円超の所得を得た
ここで注意していただきたいのは、確定申告が必要かどうかの判斷は収入ではなく所得で行われる点です。
所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額となります。
所得 = 収入 - 必要経費
年間の所得は、
- ウーバーイーツの収入:20万円
- 自転車のレンタル代:5万円
の差し引き年間15万円となります。
1、副業のウーバーイーツで年間20万円超の所得
本業が会社員で副業としてウーバーイーツで収入を得ている場合は、1年間に20万円超の所得(= 収入 - 必要経費)で確定申告が必要となります。
なお、ウーバーイーツ以外にも
- コラム執筆やセミナー講師などで得た原稿料、講演料
- クラウドソーシングを利用したWeb制作、デザイン、データ入力、写真、翻訳などの収入
- ブログ、You Tubeの動画配信などで得たアフィリエイト・広告収入
- フリマアプリ(メルカリ、ラクマなど)やネットオークション(ヤフオク!、eBayなど)で得た収入(洋服や生活用品などの”不用品”を売却した場合は、確定申告の必要がありません。)
- 自分で撮影した写真や動画などの販売で得た収入
- FX、商品先物取引、仮想通貨(ビットコイン、リップルなど)で得た収入
- 土地、建物、部屋、駐車場などの貸し出しによる家賃収入(関連記事:確定申告は家賃収入でも必要?不動産所得の計算方法を解説)
などの副業を行っている場合は、それらの所得も合算して判定する必要があります。
2、専業のウーバーイーツで年間48万円以上の所得
本業としてウーバーイーツで収入を得ている場合は、1年間に48万円超の所得(= 収入 - 必要経費)で確定申告が必要となります。
これは「確定申告をする必要のある人の要件」として、次のように明記されているからです。
その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合
出典:国税庁
所得控除とは、一定の要件にあてはまった場合に所得金額の合計額から差し引ける控除です。
基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除などが該当します。
この中でも基礎控除は、すべての納税義務者が一律で48万円を差し引くことが可能です。
そのため、所得金額の合計額が48万円以下であれば、課税所得は0円となり、確定申告はしなくても良いとされています。
※令和2年分(2020年1月~2020年12月分)の確定申告から基礎控除が38万円から48万円に引き上げられました。
住民税の申告は必要となる
ここで注意しておきたいことは、ウーバーイーツの副業による所得が20万円以下(専業の場合は48万円以下)であっても住民税の申告は必要になる点です。
もし、住民税が無申告だった場合は、追徴課税や延滞金を課せられる可能性があります。
住民税の申告は、市区町村の市民税課などで住民税申告書を提出することで行うことができるので、ウーバーイーツの副業が20万円以下でも住民税の申告は忘れずに行いましょう。
ウーバーイーツでかかった費用は必要経費として算入しよう
ウーバーイーツの所得を計算する上で重要となってくるのが必要経費です。
ウーバーイーツの配達員として仕事をした場合は、その収入を発生するためにかかった費用を必要経費として算入できます。
どのくらいの必要経費を算入できるかでウーバーイーツの所得が大きく変わってくることになるので、しっかりと把握しておきたいところです。
しかし、税務署から認められない経費を計上した場合は、あとから「加算税」や「延滞税」といったペナルティが科せられる可能性があるので注意しなければなりません。
基本的な必要経費の考え方
必要経費とは、収入を得るために直接必要な売上原価、販売費、管理費、その他費用のことをいいます。
国税庁のホームページでは、必要経費に算入できる金額として次のように記載されています。
- 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
出典:国税庁「やさしい必要経費の知識」
ウーバーイーツで認められる必要経費
ウーバーイーツで認められる必要経費は、配達を行うために支払ったお金です。
ここからは、一般的にウーバーイーツで認められる必要経費を紹介していきます。
自転車やバイク関係の費用
ウーバーイーツでは、自転車やバイクで商品を配達をすることから関連費用を必要経費として算入できます。
本体代金 | 自転車やバイクの本体代金です。自転車の種類は、ママチャリ、ミニベロ、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイク、電動アシスト自転車など。バイクの種類は、原付バイクなどがあります。なお、バイクで125ccを超えたり、軽自動車を利用する場合は、事業者登録ナンバーを取得する必要があります。 |
---|---|
関連グッズ | 自転車やバイクを利用する上で必要性の高いライト、鍵、ヘルメット、スマートフォンホルダー、空気入れなどの関連グッズです。 |
保険代 | 万が一の事故に備える各種保険(自賠責保険、傷害保険、損害賠償責任保険など)です。 |
レンタル代 | 自転車やバイクをレンタルする場合の費用です。なお、ウーバーイーツの配達員は、ドコモシェアバイクで電動アシスト自転車を特別プラン(月額4,000円~)で利用できます。 |
駐輪場・駐車場代 | 自転車やバイクを保管するために借りているスペースです。 |
スマートフォン関連の費用
ウーバーイーツの配達員は、スマートフォンで仕事を受けたり、配達するための住所を確認したり、相手と連絡を取ったりすることから関連費用を必要経費として算入できます。
本体代金 | スマートフォンの本体代金です。スマートフォンは、防水防塵、大容量バッテリー、衝撃に強いいわゆる”タフネススマホ”をおすすめします。 |
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通信費 | スマートフォンでインターネットを利用する場合は、毎月通信費を支払わなければなりません。最近は、格安SIM(MVNO)を活用することで通信費を抑えることが可能です。 |
関連グッズ | スマートフォンを利用する上で必要性の高いモバイルバッテリー、衝撃吸収ケース、防水カバーなどの関連グッズです。 |
交通費
自宅周辺は、ウーバーイーツの対象エリア外だったり、稼ぎにくいエリアとなっている。
そのため、電車・バス移動をして他の地域で配達業務を行った場合は、その交通費を必要経費に算入することが可能です。
また、基本的に都市部のほうが飲食店や人口が密集しているだけでなく、1件あたりの単価も高くなっているため、稼ぎやすい構造になっています。
税理士の顧問料
顧問税理士をつけている場合は、顧問料を経費として算入できます。
サラリーマンの副業で事業規模が大きくなり税務処理が追いつかなくなった場合は、顧問税理士をつけてみましょう。
顧問税理士をつけることで
- 確定申告や記帳を代行してもらって本業に集中できる
- 税金対策・節税対策のアドバイスを受けることができる
- 税務調査に立ち会ってくれる
などのメリットがあります。
ウーバーイーツでかかった費用は必要経費にする注意点
一般的にウーバーイーツで認められる必要経費に該当していたとしても、次の点には注意が必要となります。
私用でも利用する場合は全額を必要経費にはできない
先ほどウーバーイーツの必要経費の例にあげたもので私用(プライベート)でも利用している場合は、注意が必要になります。
分かりやすい例で言えば、自転車をウーバーイーツの配達だけでなく、
- 日常の買い物
- 趣味のサイクリング
などでも利用している場合は、個人用と事業用の両方で利用している”家事関連費”とみなされるため、全額を必要経費にすることはできません。
必要経費にできる割合は、業務の使用頻度などの割合を基に計算する必要があります。
バイクの関連費用が年間15万円で必要経費の割合が30%であれば、必要経費にできる金額は4万5,000円(= 15万円 × 30%)となります。
購入金額が10万円以上の場合は減価償却の必要がある
電動アシスト自転車や原付バイクを購入した場合は、購入金額が10万円以上になることがあります。
このときは、購入した年に全額を必要経費に算入するのではなく、一定のルールを用いて数年がかりで必要経費に算入しなければなりません。
具体的には、財務省令が定める法定耐用年数に応じて必要経費に算入していくことになります。
種別 | 法定耐用年数 |
---|---|
自動車 (総排気量が0.66リットル以下のもの) |
4年 |
バイク | 3年 |
自転車 | 2年 |
また、購入価額が10万円以上~20万円未満であれば、一括償却資産により必要経費を3年に分割して算入することができます。
- 1年目:6万円
- 2年目:6万円
といった具合に必要経費として算入することが可能です。
※一括償却資産を選択すれば、1年目4万円、2年目4万円、3年目4万円で必要経費に算入できます。
なお、中小規模の法人または個人事業主・フリーランスを対象に取得価額30万円未満であれば、少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例により一括で経費に計上することも可能です。
専業でウーバーイーツをするなら「青色申告」で最高65万円の控除あり
専業でウーバーイーツの配送業務をする場合は、確定申告の「青色申告」を選択することで青色申告特別控除最大65万円を受けることが可能です。
確定申告を「青色申告」で提出する場合は、
- 開業届
- 所得税の青色申告承認申請書
の両方を管轄の税務署に「持参」または「郵送」で提出するだけです。
あとは会計ソフトなどを利用して複式簿記で確定申告をすれば「基礎控除48万円」「青色申告特別控除65万円」の合計113万円の控除額が利用可能になります。
※2020年(令和2年)分の確定申告から青色申告特別控除65万円を適用するには「e-Taxによる申告(電子申告)」「電子帳簿保存」のいずれかの要件を満たさなければなりません。
実際に青色申告特別控除65万円を「なし」「あり」で税金の比較すると、次のとおりです。
青色申告特別控除なし | 青色申告特別控除あり | |
---|---|---|
事業所得 | 500万円 | 500万円 |
基礎控除 | −48万円 | −48万円 |
青色申告特別控除 | 0円 | −65万円 |
課税所得 | 452万円 | 387万円 |
所得税 | 25万2,100円 | 18万3,500円 |
住民税 | 34万9,800円 | 29万1,000円 |
合計 | 60万1,900円 | 48万4,500円 |
※青色申告特別控除なしでは、国民年金199,320円、国民健康保険料442,186円として計算しています。
※青色申告特別控除ありでは、国民年金199,320円、国民健康保険料380,176円として計算しています。
その他にも確定申告で「青色申告」を選択することで次の税制優遇を受けることが可能です。
青色事業専従者給与 | 青色申告者と生計を一にしている配偶者や親族(15歳以上)に支払っている給与を必要経費に算入することができます。 |
---|---|
純損失の繰越しと繰戻し | 事業所得などで赤字になった場合は、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年の所得金額から控除できます。 |
少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 | 高額な減価償却資産を購入した場合であっても取得価額30万円未満であれば、年間300万円まで一括で経費に計上することができます。 |
貸倒引当金 | 事業所得で事業を営んでいる青色申告者は、その事業で生じた貸金(売掛金、貸付金など)の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下(金融業は3.3%)を必要経費にできます。 |
サラリーマンの副業は「青色申告」の税制優遇を受けれない可能性が高い
簡単な手続きで節税対策になるなら、誰だって確定申告を青色申告で提出したくなるでしょう。
しかし、ウーバーイーツをサラリーマンの副業として行う場合は、青色申告の税制優遇を受けれない可能性が高くなります。
なぜなら、青色申告の対象となる所得区分は、
- 事業所得(商業、工業、漁業、農業、自由職業などの事業によって生じる所得)
- 不動産所得(土地や建物、船舶や航空機などの貸付けによって生じる所得)
- 山林所得( 所有期間が5年を超える山林を伐採して譲渡して生じた所得)
に限られるからです。
給与所得者であるサラリーマン等が本業とは別に「副業」をしている場合、基本的に雑所得に該当することから青色申告の税制優遇は受けられません。
国税庁ホームページでは、次のようなケースは雑所得に該当するとされています。
給与所得者の副収入としては、様々なものが考えられますが、例えば次のような所得については、一般的には、それぞれ雑所得に該当します。
- インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得
(具体例)
・衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得
※生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税(この所得については確定申告が不要)で損失は生じてないものとみなされます。
・自家用車などの資産の貸付けによる所得
・ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得- ビットコインをはじめとする仮想通貨の売却等による所得
- 民泊による所得
※個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものですので、単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当します。
- 営利性・有償性
- 継続性・反復性
- 自己の危険と計算における事業遂行性
など要件を満たさなければなりません。
基本的にサラリーマンの副業による収入は、雑所得として扱われる可能性が高いので注意しましょう。
ウーバーイーツの確定申告をしないと最大40%の罰則もある
ウーバーイーツの確定申告が必要にも関わらず、確定申告をしなかった場合は最大40%の重加算税を科せられる可能性があります。
次は、確定申告をしなかった場合に課せられるペナルティ一覧表です。
加算税の種類 | 内容 | 加算税率 |
---|---|---|
過少申告加算税 | 本来の税額より少ない金額で申告した場合 (ミスや見解の違いなど) |
0%(税務調査前に修正申告) 10~15% |
無申告加算税 | 申告期限までに申告しなかった場合 | 5%(税務調査前に修正申告) 15%(50万円以下の部分) 20%(50万円を超える部分) |
重加算税 | 本来の税額より少ない金額で申告した場合 (意図的な事実の隠蔽や仮装など) |
35% 40%(無申告) |
延滞税 | 税金を法定納付期限までに納めていなかった場合 (修正申告等により遅れた場合にも発生します) |
最新の税率はこちら |
また、税務署から悪質な無申告者だと判断されれば、最も厳しい重加算税40%がペナルティとして科せられる可能性もあるので注意したいところです。
確定申告をしていないのがバレたときの税金
ウーバーイーツで収益を上げたことで60万円の納税義務が発生したにも関わらず、確定申告をしていなかったケースを想定してみます。
本税
税務調査で確定申告をしなかったことがバレた場合は、”支払っていなかった分の税金”を納めなければなりません。
60万円
罰金
さらに確定申告しなかった罰金として”無申告加算税”を納める必要があります。
本来納税すべき税額50万円に対して、無申告加算税15~20%が課せられることになります。
50万円 × 15% + 10万円 × 20% = 9万5,000円
合計
最終的に納める税金は「本税」「罰金」に延滞税を加えた金額になります。
本税 + 罰金 + 延滞税 = 60万円 + 9万5,000円 + 延滞税 = 69万5,000円 + 延滞税
もし、この597万5,000円を「払えない!」と突っぱねていると、延滞税がどんどん加算されることになります。
具体的な延滞税の計算方法については『税務調査の延滞税とは?計算方法と具体例・シミュレーション』をご覧ください。
税務調査は基本5年間にさかのぼって調査される
無申告がバレたときに怖いのが、直近の確定申告だけでなく、過去にさかのぼって調査される点です。
基本的には過去5年間が税務調査の対象となります。
しかし、
- 他人や架空の名義を使用している
- 帳簿の記録に著しい不備がある
といった悪質な行為が発覚した場合は、7年間に延長されるケースもあります。
つまり、税務調査の結果、これまで無申告で支払ってなかった過去5年間の税金+罰金が一括で請求される可能性があるということです。
この他、所得金額を修正することで
- 消費税
- 事業税
- 住民税
- 国民健康保険
- 所得制限のある助成金
などにも影響が出てくるので、トータルでものすごい税額になる可能性があります。
今すぐにでも申告すれば罰金は軽減される
現在、ウーバーイーツの確定申告をしていないのであれば、今すぐにでも申告をすれば罰金を大幅に抑えることが可能です。
もちろん、本来の提出期限を過ぎての申告となるため、多少の罰金はありますが、自主的に申告したということで下記のように大幅に軽減されます。
- 罰金(無申告加算税) 15~20% → 5%
先ほどの例(確定申告をしていないのがバレたときの税金)に当てはめていれば、罰金は3万円(= 60万円 × 5%)で済むことになり、無申告で税務署にバレた場合の”9万5,000円”と比べて、大幅に軽減されます。
あとから税金関係で余計な心配をしないためにも適切な確定申告をおすすめします。
ウーバーイーツの副業が会社にばれない方法
ウーバーイーツを副業として始める場合、会社にバレることを懸念されてる方は多いのではないでしょうか?
最近は、大企業を中心に副業解禁の流れが強まってきたとは言え、まだまだ副業を禁止にしている企業が一般的となっています。
また、副業が解禁されたとは言え、職場の人たちにはバレたくないという方も多いことでしょう。
ここからは、ウーバーイーツの副業が会社にばれない方法を解説していきます。
副業は住民税からばれる
ウーバーイーツの副業がばれる原因は、ずばり住民税の徴収額です。
通常、会社員は、住民税を毎月の給与から天引きする”特別徴収”により納めることになっています。
住民税の金額は、
- 会社が市区町村に提出する給与支払報告書
- 個人が税務署に提出する確定申告書
をもとにして市区町村が決定。
その後、会社に市区町村から「特別徴収税額の決定通知書」が届き、そこに記載されている金額通りに毎月の給与から住民税を差し引いていきます。
その結果、会社は、通常より住民税額が多いことから「他に収入があるのでは?」という疑いをかけることになります。
住民税を「普通徴収」にして自分で納めよう
会社に住民税からウーバーイーツの副業がばれるのを防ぐには、自分で住民税を納める普通徴収を選択しましょう。
まずは、所得税及び復興特別所得税の確定申告書の第二表の下部にある「住民税・事業税に関する事項」を確認してください。
ここにある「給与・公的年金等に係る所得以外(令和○年4月1日において65歳未満の方は給与所得以外)の所得に係る住民税の徴収方法の選択」を「自分に納付」すれば、自分で住民税を納めることができます。
あとは、自宅などに届く「住民税の納付書」の内容に従って金融機関の窓口、コンビニ、ペイジー(インターネットバンキング、ATMなど)、クレジットカードなどで住民税の納付をしましょう。
また「ふるさと納税」や「住宅ローン控除」などの税額控除を受ける場合は、普通徴収が認められない可能性があるので注意が必要となります。
どうしても会社に副業がバレたくないのであれば、事前にお住いの市区町村に確認しておくことをおすすめします。
最後に
今回は、ウーバーイーツ配送で収入を得たときの税金周りの疑問について解説しました。
基本的にウーバーイーツ配達員は、個人事業主に該当することから
- 副業で年間20万円超
- 専業で年間48万円超
の所得(=収入 - 経費)を得たときは、ご自身で確定申告を行わなくてはなりません。
ただ、ウーバーイーツは、配送業務に自転車やバイク、スマートフォンなどが必要になることから経費として算入することで確定申告が必要なくなるだけでなく、税金の支払いもしなくて良いケースがあります。
その他、会社のウーバーイーツの副業がばれなくない場合は、住民税を「普通徴収」にすることを忘れないようにしましょう。
この記事の監修者
尾鼻 純
営業で多様なお客様と接する機会も多いですが、税金のことはもちろんのこと、あらゆる人脈を駆使してプライベートも含めたどのような相談にものれるよう心掛けております。これまで様々な困難な税務調査をクリアしてきました。税務署とは社長が納得されるまで徹底的に交渉させていただきます。
※本記事は、芦屋会計事務所 編集部によって企画・執筆を行いました。
※記事の執筆には細心の注意を払っておりますが、誤植等がある場合がございます。なお、執筆時から税法の改正等がある場合がございますので、最新の税法については顧問税理士等にご確認ください。
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